2019年12月
宮城県栗原町 株式会社ベジ・ドリーム栗原(黄パプリカ)
栽培管理者 五位渕 昌裕さん
産地だより 2019年12月
今回の産地だよりは、宮城県栗原市でパプリカを栽培している、株式会社ベジ・ドリーム栗原さんの栽培管理者、五位渕 昌裕さんをレポートします。
自然豊かな「栗原市」は、2005年に旧栗原郡10町村(築館町、若柳町、栗駒町、高清水町、一迫町、瀬峰町、鶯沢町、金成町、志波姫町、花山村)が合併して誕生しました。宮城県内では、もっとも広い面積を誇り、自然と四季のうつろいが大変美しい高原都市です。
また、紅葉がきれいな「栗駒山」、東北最大の低地湖沼「伊豆沼・内沼」など、県内外で愛されている自然豊かな観光スポットがたくさん点在しています。
そんな栗原市の旧高清水町に、株式会社ベジ・ドリーム栗原さんはあります。モスバーガーの「こだわりサラダ」に使用している、黄パプリカを年間通して出荷していただいている協力産地です。
それでは、五位渕さんのパプリカ栽培の様子をお伝えいたします。
ベジ・ドリーム栗原さんに到着
モススタッフが取材を行ったのが、10月の秋の気配が強まり、肌寒く感じる日のことでした。取材当日は、東京から新幹線に乗り、約2時間で新幹線の最寄り駅古川駅に到着です。そこから、豊通食料株式会社の宮﨑さん(後ほど詳しくご紹介します)に出迎えていただき、車でベジ・ドリーム栗原さんに移動です。
途中、直売所を発見!
「少し休憩していきますか?」とモススタッフ。
中に入ってみると、さすがに米どころ。色々なお米が陳列されています。
また、「漢方和牛」と聞きなれないブランド品などもあり、
「まだまだ知らない商品があるのだな」と実感するモススタッフでした。
そうこうしているうちに、株式会社ベジ・ドリーム栗原さんに到着しました。
農場の入口では、農場長の石田さんと今回取材のご対応をしていただきます五位渕さんにお出迎えをしていただきました。
ベジ・ドリーム栗原さんのご紹介
株式会社ベジ・ドリーム栗原さんは「安心安全な国産パプリカ」を供給したいという思いから、2008年に設立されました。
株式会社ベジ・ドリーム栗原さんは宮城県内に2か所農場を保有しています。今回取材を行う「栗原農場(4.2ha)」と黒川郡大衡村にある「大衡農場(1.8ha)」からなりたっています。すべての農場でパプリカの養液栽培をおこなっています。収穫量は、年間およそ1,000tで国内最大級の収穫量をほこります。
また、これだけ広い2つの農場を、常駐されている社員8名で、運営管理をおこなっています。農場がどのくらいの広さかといいますと、栗原農場だけで「東京ドーム」と同程度の広さになります。さすがにこれだけの広さですので、収穫や選果などの作業は、約60名のスタッフで行われています。
施設内のご紹介
株式会社ベジ・ドリーム栗原さんの栽培方法の特徴の一つとして、発芽室・育苗室を保有し、種まきから収穫まで自社でオペレーションをしていることがあげられます。
発芽室や育苗室を案内してもらっているときに、「種まきから収穫まで自社で行うメリットはどのようなことがありますか?」と質問してみますと、「育苗を自社で行うと、苗を他から購入することはないので、苗に付着した虫の侵入を防除できます。また、虫の侵入を防ぐことにより、農薬を使用する回数もかなり減らせます。」と五位渕さん。
また、さらに施設内を歩いていますと、パプリカがたくさん入ったコンテナらしきものを発見。
「これはなんですか?」とモススタッフ。
「ボガートと言います。これから自動搬送で選果場に行きます。」と五位渕さん。
「これ、自動で行くの?」と心の中で思ってしまいました。
すばらしい施設・設備が整っているんだなと驚きと感心の連続でした。
五位渕さんのパプリカ栽培との出会い
今回ご紹介いたします五位渕さんは、東京のご出身です。就農以前は、ペットショップに10年近く勤められていたとのことです。それが、どうしてパプリカ栽培農家に就いたかとおたずねしたところ、「小学生のころ、もう30年以上前に見たつくば万博の養液栽培の映像を見たときに衝撃を受けたのが農業に関心を持ったきっかけです。」とのお答え。「社会人になってペットショップでの販売も楽しかったのですが、やはり子供のころ見た、あの衝撃な映像を忘れることができず、気が付けば東京で行っていた就農フェアに参加して、栗原に来ていました!」とのことです。
その後、パプリカ栽培に就農され、約3年後、あるご縁で設立当初の株式会社ベジ・ドリーム栗原さんに就職されたそうです。それから、五位渕さんのパプリカ栽培の奮闘が始まるのですが、それは後ほど。
パプリカ栽培のご紹介
「あれに乗って、上に実っているパプリカを見てみましょう!」と五位渕さん。
「これは先ほどパプリカを運んでいたボガートですよね?」とモススタッフ。
「ボガートには運搬用と作業用の2種類があって、収穫やその他農作業にも使用しているんですよ!」と五位渕さん。
ボガートに乗って、上の方に行ってみますと、五位渕さんが「これがパプリカの花です!」と説明してくれました。白色で可愛らしい花です。
「ベジ・ドリーム栗原は実の色で言うと、3種類のパプリカを栽培しています。モスバーガーさんで使用している黄パプリカ、その他は赤とオレンジ色のパプリカを栽培しています。それでは、黄パプリカ以外の花の色はわかりますか?」
モススタッフ「…?」
「実は全部白です(笑)。ですから、仮にそれぞれのパプリカを同じ場所で栽培しますと、実が色づくまでわかりません。実の色も最初はグリーンですから、色が付かないと本当にわからないんですよ(笑)。」
またひとつ勉強になったなと感じるモススタッフ。
「ただ、花の色は同じですが、樹勢は実の種類によって少し違います。モスバーガーさんが使っている黄パプリカは樹勢が一番強いです。樹勢が強いということは樹が養分を多く吸収し、大きい実をつけるのは一番難しいということです。ですので、液肥のコントロールがポイントになります。」と説明を受けました。
「他には、どんなご苦労があったんですか?」とモススタッフ。
パプリカ栽培の苦労話
「設立当初から3年間は、うどんこ病に悩まされました。何とか、くん煙により防除できるようになりましたが、今度は害虫です。農薬では効果も得られず環境にも悪いため、今から5,6年ほど前に本格的に害虫の天敵も使用するようにして効果を得られるようになりました。」と五位渕さん。
さらに、「天敵とは、パプリカの害虫のアブラムシを食べてくれるてんとう虫や、アブラムシに寄生する蜂のことです。」と詳しく説明してくれる五位渕さん。
説明をして頂いている間にも、また他の場所に目を止め、「この植物は何ですか?」と間髪入れずに質問するモススタッフ。
「これは、麦でバンカープラントといいます。天敵になるてんとう虫を飼っているんですよ!」と五位渕さん。
「農薬使用は以前の1/3以下に減っています。できれば施設全体に、このバンカープラントを配置して天敵のみで害虫防除をしたいです。ですが、やはり農場が広いのでなかなか難しいです。いつの日か、無農薬栽培できるように日々挑戦です!」と五位渕さん。
このような日々のご苦労のお話を伺って、また、五位渕さんの情熱をひしひしと感じることができ、このような方に栽培された黄パプリカが、モスバーガーのお店に届けられていることに改めて安心をしました!
豊通食料株式会社の宮﨑さんとのつながり
株式会社ベジ・ドリーム栗原さんとモスバーガーをつなぐ架け橋となっていただいているのが東京に本社がある豊通食料株式会社の宮﨑さんです。
宮﨑さんは、豊通食料株式会社に入社されて8年目。最初の3年は「竹の子」の仕入れを担当していたそうです。その後、パプリカの担当になりました。
最初は東京と栗原が離れていることもあり、栗原のみなさんとのコミュニケーションに悩んだ時期もあったそうです。
しかし、今ではもうベテランの領域です。「最低月に一度は栗原に足を運んでいます」と宮崎さん。栗原の皆さんとのコミュニケーションもばっちりです!
「栗原の皆さんはいつもパプリカの栽培について試行錯誤しながら改善に向けて努力されています。そんな皆さんのパプリカ栽培の手助けをできればと思い、最低月1回は栗原に行き、皆さんと情報交換しています。」と宮﨑さん。
これからも、栗原の皆さんと強力タッグを組んで、おいしい黄パプリカをお客さまに届けてください‼
五位渕さんから一言
最後にモスバーガーのお客さまに向けて一言いただきました。
「できるだけ無農薬栽培に近づけるよう、安全安心にこだわりを持って、パプリカを栽培しています。また、パプリカは見た目より甘みがありとてもおいしいです。そんなこだわりを持った黄パプリカを、モスバーガーのサラダで、ぜひお召し上がりください!」と五位渕さん。
株式会社ベジ・ドリーム栗原さんの黄パプリカは、東北・関東甲信越・東海地方と沖縄県のお店に年間通して出荷しています!(他の地域のお店も季節によって出荷しています。)
愛情たっぷりの黄パプリカを、ぜひ、モスバーガーのお店でご賞味ください‼
Text by Kitsunai