2019年7月
HATAKEミーティングin千葉
千葉県富里市(協力農家圃場視察)、成田市(講演会他開催会場)
株式会社テンアップファーム(トマト)
代表生産者 西海 敏郎さん
産地だより 2019年7月
今回の産地だよりは、5月21日に開催された、「HATAKEミーティングin千葉」の様子を報告します。株式会社モスフードサービス会長の櫻田が午前から千葉県に入っての圃場視察、また午後からの場所を換えての櫻田の講演、外部講師の技術講演が行われ、全国の協力生産者100名ほどが集まり、丸1日に亘って熱い交流が行われました。
「農家の店にんじん」の視察からスタート
当日は朝からあいにくの雨、時間とともに強くなる雨足の中、圃場視察の予定を変更し、会長の櫻田が到着したのは、モスの協力農家である株式会社テンアップファーム、株式会社モスファーム千葉の関連会社株式会社森田商店が経営する「農家の店にんじん」です。
出迎えたモスファーム千葉の森田社長によると、27年ほど前にニンジンの農家さんから、近くで肥料や農薬などの資材を購入したいという要望から、森田社長のお爺様が始められた店舗が、今では日用雑貨から農業機器、大きいものはビニールハウスのパイプまでも扱う規模になり、現在は千葉県内に3店舗あるそうです。
「これからのシーズンではどのようなものが売れるのですか。」との櫻田の問いに、「これからは雨の季節ですので、たとえば今強い雨が降っていますから、雨が上がった明日には病気の発生を防ぐ資材などを買いに来られる農家さんが増えると思いますよ。」と森田社長。広い店内は、一般のホームセンターにはないような専門的なものばかりで、聞きたいことばかりでたくさんの質問をさせていただきました。見ていても飽きないものばかりで、いつのまにか時間が過ぎていきましたが、次の圃場では生産者もお待ちとのことで、しばらく店内をご案内してくださったところで残念ながら時間切れ。次の場所への移動となりました。
テンアップトマト農場に移動
続いて訪れたのは、2002年以来、モスのお店にトマトを継続して供給していただいている協力農家、株式会社テンアップファームの西海敏郎さんのトマトハウスです。到着すると、雨の中、スタッフの皆さんが待っていてくださいました。有難うございます!
株式会社テンアップファームは、有機肥料を主体に栽培管理することで栄養価の高い野菜を作ることを目的に2005年に設立された農業生産法人です。「テンアップ」の名前は「ミネラル成分10%アップ」という意味に由来します。モスには6月~11月に、関東地方などを中心にトマトを出荷していただいています。
さっそく、トマトハウスに入った櫻田に、農場長の西海さんが声をかけます。「うちのハウスの中で栽培しているトマトは全国的にも少ない「みそら」という品種なんです。トマトの果肉が詰まっている部屋の数が多く、酸味と甘みのバランスがとれているという特徴があるので、モスさんの商品にはピッタリだと思いますよ。」西海さんは、18歳のころからトマトを栽培しているベテラン農家さんです。スイカやニンジンも栽培されています。うかがったハウスの中もトマトの苗がきれいに仕立てられていました。
そんなトマトの樹を見ながら、櫻田から「今必要な管理とはどのようなものなのですか」と質問したところ、西海さんからは「花の摘花ですね。ほんとうはたくさんトマトの実をつけたいので花をとりたくないのですが、多くの養分を3、4個ほどの実に集中させたいので、花の形の良し悪しを選びながら取っているんです。」との答え。栽培されているトマトは、出荷がこれから本格的に始まる時期で、西海さんの経験に裏打ちされた作業はこれからも続くようです。
雨をよけて、少し離れた機械置場のスペースに場所を移し、採れたての「みそら」のトマトを見せていただきました。櫻田は、店舗での仕込みを思い出して、その場で自らトマトを切り自分でも食べてみましたが、そのおいしさには脱帽。ふるまわれたスイカもとても甘く、テンアップファームの皆さんの味への強いこだわりと自信がよく理解できた瞬間でした。
2017年に、テンアップファームは、モスフードサービスとの共同出資の農業生産法人株式会社モスファーム千葉を設立しています。この日はさらに雨足が強くなったため、畑の中をさらに移動することができなくなり、モスファームの圃場の視察は残念ながら出来なくなってしまいましたが、森田社長からは、試験栽培の玉ねぎが順調に生育していることが報告され、これからのファームへの期待がさらにふくらみました。
HATAKEミーティングスタート
続いて会場を千葉のホテルに移し、まずは会長の櫻田からの講演会で第2部がスタートしました。
「皆さまにお伝えしたいこと」と題し、モスの生い立ち、創業者との想い出に触れながら、話は現在の事業環境や社会課題にも広がりました。農業がかかえる「高齢化」や「事業継承」の問題にも触れ、モスでの実際の事例にも入れながら、「形だけの継承ではなく、最終的にはなぜ、この仕事をするのかという経営者としての覚悟を確認することが大切である」ことを述べました。
講演終了後、参加者から「昨今の働き方改革は農業としてどう捉えたらいいのか」との質問には、「その仕事を今までの1/3でも1/2でも行うためにはどうしたらよいのかその答えや指示を他に求めることより、自分で考えることでの人間的成長としてとらえていったほうがよい。またその際には、農業においても楽しく仕事をするという観点は忘れてはいけない。」とお答えしました。
続いては「ブリーダーの視点から見た今後のモスの協力農家さんの展望」と題して、株式会社フジイシードの藤井取締役からの講演です。通常は聞けない野菜の品種開発のお話の中では、モスの専用品種が作られることへの今後の期待といったメッセージもありました。また、中年男性がサラダを多く購入しているなど、健康志向が幅広い年齢層に広がっている昨今の消費者動向のご紹介もあり、たとえば、種苗会社のサポートで少量でも多くの品目を開発し、それらの野菜をモスと協力農家さんで栽培して地域限定で、メニュー開発するといったご提案もいただきました。これからの未来の食文化をつくっていくうえでの国内野菜生産への展望などに、参加者は熱心に耳を傾け、その話に聞き入っていました。
農水省GAPガイドライン準拠「MOS-GAP」のご説明
会議の最後では、今期の産地訪問時から導入する「MOS-GAP」点検について、その目的や実際の内容についてアグリ事業グループのスタッフから説明をさせていただきました。現在まで築いてきた安心安全をさらに求め、また農家の皆さんと共にこれからも成長発展することで日本の農業を応援するという目的から、今回、専門家の監修をいただきながら、農水省の「農業生産工程管理(GAP)の共通基盤に関するガイドライン」に準拠したチェックリストを作成しました。
会場ではご来場者にチェックリストお配りし、これから始まる「MOS-GAP」点検についてのご協力をお願いしました。
最後は参加生産者全員との交流会
多くの農家の皆さん、関係者の皆さんにご参加いただいたHATAKEミーティング。会の最後は、モスの櫻田をはじめ、モスのスタッフ、常日ごろはなかなか顔を合わさない生産者の皆さん同士の交流会です。野菜の品目は違うものの、モスを通じて巡り合ったご縁。この繋がりをこれからも大切にして、共に成長し、おいしく安全な野菜をお客さまに提供していきたい・・と、心をひとつに、参加者全員で誓いあう夜となりました。
ご出席していただいた農家の皆さん、そして、今回残念ながら出荷などのご都合でお会い出来なかった皆さん、ありがとうございました。また、どうぞこれからもよろしくお願いいたします。また、産地にお伺いした際に、皆さんとお会いできることを楽しみにしています!!
Text by Nakayama