2019年4月
鹿児島県指宿市 株式会社 指宿やさいの王国(キャベツ、レタス)
代表生産者 吉元 龍馬さん
産地だより 2019年4月
本州の南端に、元気のいい若い農家さんがいます。今月の産地だよりは、若い集団「指宿やさいの王国」をレポートします。
指宿のご紹介
指宿(いぶすき)市は鹿児島県の薩摩半島最南端、花と緑にあふれた風光明美な町です。南は東シナ海に臨み中央部には九州一の大きな湖の池田湖、南西部には標高924メートルの秀峰開聞岳、南部には南国ムード漂う長崎鼻、東部には潮の干満で陸続きになる知林ヶ島があります。年間平均気温は、暖流の影響で約19度と高く温暖で亜熱帯的な気候のため、市内にはソテツが自生し、幸せを呼ぶ熱帯蝶のツマベニチョウが乱舞する北限の地でもあります。
指宿やさいの王国のご紹介
熊本のトマト産地から車を走らせること4時間、指宿やさいの王国の事務所に到着しました。代表は吉元龍馬さん36歳、農業に就いて14年目になります。同社のメンバーは総員47名で平均年齢は30歳を下回ります。2018年の農林水産省の発表では基幹的農業従事者の平均年齢は66.5歳とされていますので、本当に若いメンバーで構成されています。
メンバーの中には修行目的の農家の息子さんも含まれ、逞しく鍛えたあとに実家に戻すといった、地域の若手農業者の育成にも貢献しています。
モスバーガーには現在キャベツ、レタスを納めてもらっていますが、他にもグリーンリーフ、白ねぎ、オクラ、イチゴなど、様々な作物を栽培しています。
特有の苦労と技術
指宿のキャベツ畑を確認したあと、東へ走りトンネルを抜けると、きれいな円錐形の成層火山、開聞岳が真正面に見えます。標高924メートル。俗称“薩摩富士”。その麓に広大な畑が広がります。畑に入ると足裏の感触がいつもと違うので、レタスの葉をめくって土を見ると砂利と砂ばかり。先程見た指宿の畑は粘土質の重そうな土でしたが開聞へ少し走っただけのこの違いに驚かされます。指宿側は肥料持ちがよいのですが排水がよくない。それに対して開聞側は肥料がすぐに流れてしまうという真逆の畑です。
「肥料の量、質と種類、栽培時期、作物の種類、品種、全てのことを総合的に考えています。特に、開聞の畑は肥料を追加するタイミングに、細心の注意を払わなくてはなりません。」と吉元さん。極めて繊細な栽培技術と経験を要する地域だと気付かされます。
集荷場の様子
集荷場には、一日当たり、900ケース(7,200個)のキャベツが集まります。最盛期には3,000ケース(24,000個)が集まるそうです。あまりの多さにびっくり!聞き直してしまいました。
集荷したキャベツは鮮度を守るため、1日予冷をかけて、各地に輸送されそうです。
次の挑戦
さらなる規模の拡大に向けて、育苗ハウスを購入し準備を進めています。育苗ハウスは耐候性で2,100平方メートルの大きさ、この規模を持つ農家さんは、なかなかいないと思います。吉元さんになぜこのような大きなハウスを購入したかお聞きすると「安全、安心のためにも、苗は自分たちで作りたいです。また、台風時期にもハウスであれば、苗が守られ、安定的に栽培、収穫が続けられます。」と力強く話してくれました。
キャベツ、レタス苗の生育状況を見せていただきました。苗の状態は順調とのこと。9月上旬から畑への苗植えを開始。最終の植え付けは4月中旬で6月の収穫まで、気の抜けない時間が続くそうです。
また、吉元さんはレタスを、モスバーガーブランドで九州のスーパー(ハローデイさん)で販売するなど様々な挑戦に取り組んでいます。
吉元さんからのメッセージ
吉元さんのキャベツ、レタスは、主に12月から6月ごろまで、九州、関西地区のモスバーガーに納品されています。
「若いスタッフががんばって作っています。ぜひ、おいしく食べてください。」
Text by Iigusa