2018年11月
広島県庄原市 JA庄原高野町野菜組合とまと部会(トマト)
代表生産者 藤長 友樹さん
産地だより 2018年11月
今月の産地だよりは、広島県の北東部で中国地方のほぼ中央に位置し、標高180m~780mという標高差があり、トマト栽培に適した庄原(しょうばら)市高野町の協力農家さんである藤長さんを紹介させていただきます。
庄原市高野町のご紹介
庄原市高野町はトマトだけでなく、大根・りんご・ほうれん草やアスパラなどの生鮮野菜が盛んな産地です。たくさんの野菜が栽培されている背景には、1770年に三瓶山が噴火後、黒ボク土と呼ばれる火山灰でできた土の保水性や排水性がよく、作物の栽培に適していることがあります。
また、朝と夜の寒暖差が大きく、夜露が自然に野菜に灌水していることも、無理なく自然に野菜が育つ要因になっています。
JA庄原高野町野菜組合とまと部会の特徴
現在JA庄原高野町野菜組合とまと部会の生産者は17名で、その平均年齢は48歳。全国的にトマト生産者の後継者が減少傾向にあるなか、若く活気に満ち溢れている部会です。Uターンで帰ってきて就農する人もいるとのことですが、それよりもトマト栽培をしている生産者の方が、知り合いに声をかけて始めるケースが多いとのこと。藤長さんもそのひとりでした。
藤長さんの父親はお米の兼業農家さんだったそうですが、すぐに後を継がず隣町で大工の仕事をしていました。藤長さんはとまと部会の峠(たわ)さんに誘われ、トマト栽培を始めました。「最初の3年間、主にかいよう病という病気に悩まされましたが、衛生管理を徹底させることで年々改善していきました。その間、部会の生産者の方々が見にきてくれて、コツやノウハウを包み隠さず教えてくれたおかげでした。」と藤長さんは話してくれました。
今でも生産者同士で栽培方法を教えあい、食事をしてもトマトの話ばかりしているそうです。
そんな隠しごとがなく何でも教えあう仲間関係が、JA庄原高野町野菜組合とまと部会の特徴です。
自然が育てるトマト
1日の気温の寒暖差が大きいことが、おいしいトマトができる理由になっていますが、水の恵みもその理由のひとつです。神野瀬川の源流がすぐそばにあり、ミネラル分を多く含んだ水が流れていて、その水がトマトに栄養を与えてくれています。
栽培が終わったあとは、積雪対策でトマトハウスのビニールを全部剥ぎます。そしてハウス内の土は雪に見舞われることになりますが、それが土を自然消毒する効果にもなっています。
これらの様々な好影響で、庄原のトマトは甘味があることはもちろん、酸味もほどよくあることが特徴で、本来のトマトの味を感じさせます。
藤長さんの紹介
藤長さんについて、指導員として生産者の方々といつも接しているJA庄原北部営農センターの牧原さんから、「とにかく真面目で、有言実行の人です。トマトはデリケートで、手を抜くとあとで分かる(質が落ちる)野菜ですが、藤長さんは本当に几帳面な性格で、質はもちろんのこと、収量も含めお手本となる生産者です。」と紹介していただきました。
また雪の影響でトマト栽培ができない12月から3月は、昔本業だった大工の技術を駆使して、自分の家を建てたそうです。
トマトと同様、大工も作ることの喜びを感じているとおっしゃっていました。
藤長さんからモスのお客さまに
笑顔の中にも真剣な眼差しで、「とにかく高野のトマトはおいしい。高野のトマトが好きだと言ってもらえることが一番です。これからもずっと、さらにおいしいトマト作りに励んでいきます。」と力強く、また自信のこもったメッセージをいただきました。
藤長さんと仲間のJA庄原高野町野菜組合とまと部会からは、モスのお店に例年7月中旬から11月中旬ごろまでお届けしています。
Text by MATSUSE