産地だより 2017年12月

2017年12月
熊本県苓北町
JAれいほくモスレタス部会(レタス)
代表生産者 林田 和幸さん

今回の産地だよりは、熊本県苓北町(れいほくまち)でレタスを栽培している、JAれいほくモスレタス部会の代表生産者、林田和幸さんをレポートします。
熊本県苓北町は、天草下島の北西端に位置し西は天草灘、北は千々石灘の2つの海に接し、天草灘に突き出した富岡半島は扇状に形成されています。
気候は、天草諸島の中では比較的降雨量は少なく温暖で、年平均18.2℃と暖かく、秋冬野菜栽培には適した気候です。
レタス以外の農産物は、ミカンやびわが盛んに栽培されています。
また、苓北町は歴史遺跡、文化遺跡が多く、歴史の薫りも漂っている自然豊かな魅力的な町です。
そんな苓北町から、林田さんのレタス栽培の様子をお伝えします。

レタス栽培に対する思い

林田さんは就農する前、運送会社で重機オペレーターを8年間勤めていたそうです。しかし、もともとご実家が農家だったこともあり、自分でも「人が喜ぶ野菜をつくりたい!」という気持ちになり、ご実家の農家を継いだそうです。
「収穫時は1玉1玉丁寧に収穫していきます。大事に育てたレタスです。お客さまに喜んでもらえるよう、出荷するまで丁寧に取り扱いますよ!」と笑顔で答えてくれました。
そんな林田さんですが、モスとお付き合いしていただいて約20年が経ちました。今では、JAれいほくモスレタス部会、4名を束ねる代表生産者を務めています。
林田さん曰く、「日ごろから他の部員とは情報交換をよくしています。レタスは芯を押してみて、わずかに動く位がベストです。そんなレタスを目指して頑張っています。」とのこと。七分結球を基準とするモスのレタスにぴったり。
モスバーガーのお店にも、そんなこだわりをもったレタスが届いているのです。

部会員とJAれいほく職員の皆さま

部会員とJAれいほく職員の皆さま

林田さんの収穫の様子

林田さんの収穫の様子

環境保全型農業への取り組み

「あそこにある黄色い球体は何かわかりますか?」と林田さん。
「あれは防蛾灯です。」と説明を受けました。
ハスモンヨトウやオオタバコガなどの夜蛾類が発生する10月~1月上旬頃、黄色防蛾灯によりレタスの食害を防除します。
「夜蛾類は夜行性で昼間はあまり行動しません。よって夜間、レタスを防蛾灯で明るく照らすと夜蛾類の行動を抑制し、その結果レタスへの産卵数が減少し、被害の低減につながります。」と林田さん。
また、「普通の照明では長日(ちょうじつ)条件となり、レタスの生育に影響(とう立ちなど)を及ぼすので、行動抑制効果があり、なおかつ作物に影響を与えない光源として黄色防蛾灯を使用しています。」と説明を受けました。
「この時期、レタス圃場は黄色が映え、幻想的な夜になるんですよ。」と林田さん。
夜の圃場もぜひ見てみたいと思いました。
また、「あちらの白くて三角のものは何ですか?」と尋ねてみました。
「あれはフェロモントラップです。」と説明してくれました。
町内に24カ所トラップ(害虫を誘引粘着する器具)を設置して、一週間に一回害虫の発生状況を調査し、無駄な農薬散布を防いでいるとのことです。
このように、農薬散布回数を低減し、安全なレタス産地としてのブランドに役立っているのです。

防蛾灯

防蛾灯

トラップの説明を受けるモススタッフ

トラップの説明を受けるモススタッフ

レタスの栽培方法

JAれいほくモスレタス部会の圃場からモスのお店に届けられているレタスは、マルチ被覆の四条植えで栽培されたものです。株間は30cmだそうです。
「この株間がうちの栽培方法にはあっているようです。」と林田さん。
「マルチ被覆を行うことによって、冬期間の地温を安定させます。また、雑草を抑える効果もあります。」と説明していただきました。
品種に関しては、例年10種類ほど栽培し出荷しているそうです。
「どうして多くの品種を栽培するのですか?」と尋ねたところ、「冬の間も気温の変動は大きいので、どうしてもこのくらいの品種を栽培する必要があります。」と林田さん。
案内していただいた林田さんの圃場では、「バージョン」という品種が栽培されていました。
もう少しで収穫だそうです。
また、育苗場では、「ラウンド」という品種が育苗されていました。
「こちらは今期最後に収穫されるもので、あと3日くらいで定植ですね。」と説明してくださいました。
品種選定も非常に大変だなと感じました。
また、この時期(取材時は11月初め)は、日中でも寒暖差があり、気温が上がると20℃前後になってしまいます(取材当日もそうであった)。栽培している品種は全て冬用の品種です。
この気温だと高過ぎ、「レタスが高温障害(生育障害)をおこすかもしれないので、不織布を被覆しないといけないな。」と林田さん。
この時期、結球前は不織布をべたかけ(直接覆う)し温度調整を行っています。また、この不織布は害虫被害防止も兼ねていると説明がありました。
1日の作業の中でも、全く気が抜けないなと感じ、このように愛情込められ栽培されたレタスがお店に届けられているのだと感じました。

林田さんの圃場風景

林田さんの圃場風景

マルチ被覆の様子

マルチ被覆の様子

収穫を待つ「バージョン」

収穫を待つ「バージョン」

苗の生育状況を確認する林田さん

苗の生育状況を確認する林田さん

レタス栽培での苦労は

レタス栽培での苦労は、「やはり天災や天候ですね。今年も台風に曇天と悩まされました。その影響で少し収穫が遅れています。」と林田さん。
また、天候に起因して毎年、すそ枯病にも悩まされているそうです。
「今年も発生しました。しかし、部会員の頑張りもあり最小限に食い止めています。」と説明をいただきました。
また、前述の夜蛾類の被害の他に、レタス結球前に、鴨の食害も毎年あるそうです。
その対策として、「今年から黒マルチを旗状にして、圃場に立てています。風になびく音に警戒し、鴨が近づかないんですよ!そのおかげで今年はまだ食害がありません。」と林田さんが嬉しそうに答えてくれました。
改めて露地での栽培は、色々な工夫がなされているのだと感じました。

すそ枯病の被害を受けたレタス

すそ枯病の被害を受けたレタス

鴨の食害防除の様子

鴨の食害防除の様子

JAれいほく職員とのつながり

JAれいほくモスレタス部会の生産者とモスバーガーをつなぐ架け橋となっていただいているのが、JAれいほく職員の松本さんです。
松本さんは、JAれいほくに入組されて6年目。
今までは「ミカン」が担当でしたが、今年の4月からレタス担当になりました。
「まだまだレタスの栽培については勉強中です。そして生産者の皆さんも、もっといいレタスを栽培するためにどうしたらよいか悩んでいます。そんな皆さんのレタス栽培の手助けをできればと思い、日々圃場に行き、生産者の皆さんのお話を聞いています。」と松本さん。
これからも、生産者の皆さんと強力タッグを組んで、おいしいレタスをお客さまに届けてください!!

生育状況を確認する林田さんと松本さん

生育状況を確認する林田さんと松本さん

JAれいほくの集荷場

JAれいほくの集荷場

林田さんから一言

最後にモスバーガーのお客さまに向けて一言いただきました。
「JAれいほくモスレタス部会のポリシーは『シャキッと朝採りレタス』です。モスのお店でぜひ、『シャキシャキしたれいほくのレタス』をハンバーガーと一緒にお召しあがりください!」と林田さん。
林田さんのレタスは、これからが本格的な出荷です!
愛情たっぷりのレタスを、ぜひ、モスバーガーのお店でご賞味ください!!

代表生産者 林田 和幸さん

代表生産者 林田 和幸さん

Text by Kitsunai