産地だより 2017年7月

長野県川上村 タスパス出荷組合(レタス)代表生産者 渡辺 一広さん

2017年7月
長野県川上村
タスパス出荷組合(レタス)
代表生産者 渡辺 一広さん

今回の産地だよりは、長野県川上村でレタス、グリーンリーフの栽培をしている、タスパス出荷組合(レタス)の代表生産者、渡辺一広さんをレポートします。
長野県川上村は、千曲川の最上流部に位置し、年間気温が8.5℃と冷涼な高原地帯です。標高1,100~1,500メートルに広がる耕地で野菜の栽培をしています。
村内就業者の6割が農業に関わっており、レタスの出荷量においては、年間約76,000トンと日本有数の生産量を誇っています。レタスを活かした名産品にも力をいれており、「レタス焼酎」・「レタスアイス」があります。
また、長野県の天然記念物に指定されている「川上犬」は、村のマスコットキャラクター「レタ助」のモデルでもあります。
それでは、渡辺さんのレタス栽培の様子をお伝えします。

レタス栽培に対する想い

渡辺さんはレタスの栽培をしている農家に育ちました。幼いころから、レタス畑に囲まれてお父さまの背中を見て育ったので、他の職業に就くことは全く考えなかったそうです。
「安全でおいしいレタス栽培を自分がやらなければいけないという使命感は、自然と身についていきました。」と笑顔で答えてくれました。
そんな渡辺さんですが、就農されてから30年経ちました。今では、組合員が15名、レタス栽培面積が50ヘクタールのタスパス出荷組合の代表生産者を務めています。
タスパス出荷組合の名前の由来が、Taspass(タスパス)=Tasty And Safe Products Agriculture Supply System からきています。(おいしくて、安全な農産物の供給システム)
名前の由来のとおり、渡辺さんとタスパス出荷組合の生産者の皆さまは、「安全な農産物の生産」のため、日々減農薬、減化学肥料栽培に取り組んでいます。
モスバーガーのお店にも、そんなこだわりをもって栽培されたレタスが届いているのです。

渡辺さんのレタス圃場風景

渡辺さんのレタス圃場風景

出荷前の風景

出荷前の風景

土づくりのこだわり

「最近は耐病性品種の登場により、以前と比べると栽培がしやすくなりましたが、就農当時は病気になりやすい品種ばかりで廃棄の連続でした。」と渡辺さん。
「そのことがきっかけで、20年前から土づくりにこだわりを持って取り組んでいます。いくつかの有機入り肥料をブレンドして病気にも強い、天候にも左右されない土づくりを目指しています。」と説明してくれました。
そのためにも、特に気にかけていることが「地力」の向上です。畑の地力を向上させることは、病気の発生の抑制にもつながるそうです。
渡辺さんいわく、「フミン酸を入れることによって畑の腐植(有機化合物群)をふやしながら、地力の向上をはかります。また、納豆菌を投入し発酵させ、畑の有効菌を増やすことによって施肥量を減らす工夫もしています。」とのこと。
出来るだけ農薬や化学肥料を使わず、このような『丈夫な土』で育てられたレタスがモスバーガーのお店に届けられていることを知るとうれしく思いました。

生育状況を確認する渡辺さん

生育状況を確認する渡辺さん

作業する渡辺さんの様子

作業する渡辺さんの様子

使用している有機肥料の数々

使用している有機肥料の数々

工夫されたマルチ栽培

タスパス出荷組合の川上村の圃場からは、レタスとグリーンリーフがモスのお店に届けられています。その栽培方法は、すべて全面マルチでの栽培です。
株間はレタスで25センチ、グリーンリーフで24センチだそうです。
「この株間がうちの栽培方法にはあっているようです。」と渡辺さん。
「うちが使用しているマルチは白色です。マルチは地温を安定させ、レタスに必要な水分を確保する働きがあります。また、雑草を抑えることができ、除草剤を使用しないで済みます。」と説明していただきました。
特に地温に関しては、管理に細心の注意を払っているそうです。地温が38~42℃くらいに上がってしまうと、根腐れ病などの原因となる細菌が増殖してしまい、病気の発生につながります。特に気温が上がった夏の日は、スプリンクラーで水をまき、地温を下げるように工夫しているそうです。
また、早い時期に収穫できる圃場に関しては、同じマルチで二期作を行っています。
「一作目はエスコートという品種の栽培をしています。葉肉が厚く、とてもおいしいですよ!そして、二作目はルシナ66という品種です。こちらは、真夏に収穫する品種ですので、根腐れ病抵抗品種の代表格です。他の病気にも強いですよ。」と渡辺さん。
さらに、「一作目収穫終了後、根の状態を必ず確認します。根を確認すると、生育状況や病気の有無を確認できます。少しでも根に異変があった場合は、二作目は栽培しません。」と答えてくれました。
品種選定、収量、安全を計算し、「安全な農産物の供給」を実践しているのだと感心しました。

 グリーンリーフを担当している井上さん

グリーンリーフを担当している井上さん

収穫期のエスコート

収穫期のエスコート

丈夫に育った根

丈夫に育った根

井上さんのグリーンリーフ圃場風景

井上さんのグリーンリーフ圃場風景

レタス栽培での苦労は

「丈夫な土づくりをしても、やはり天候に勝てない場合があります。」と渡辺さん。
取材当日(6月に取材)は、気温が25℃くらいで少し汗ばむような天候でしたが、ここ数日では、最高気温が10~11℃ほどにしかならず、寒いくらいだったとのこと。しかも、数日前には霜が降りたそうです。
「霜が降りるとレタスの葉っぱを痛めてしまい、商品にならない場合があります。高原地帯は6月に入っても朝晩はマイナス気温になることもあります。6月に霜が降りても全然不思議ではないですよ。」と霜で白く変色した葉っぱを説明してくれました。
また、「今年は干ばつでも苦労しています。」とのこと。品質自体は悪くないということですが、「干ばつだとレタスの結球が、収穫直前に大きくならないので、今は雨が降ることを祈っています。」と苦笑いをしながら渡辺さんが答えてくれました。
改めて露地での栽培は、非常に管理が難しいと感じました。

霜の被害を受けたレタス

霜の被害を受けたレタス

状況の説明を受けるモススタッフ

状況の説明を受けるモススタッフ

丸西産業スタッフとのつながり

タスパス出荷組合とモスバーガーの「安全でおいしい野菜の供給」の取り組みは、今年で7年目です。タスパス出荷組合の生産者の皆さまは、長野県飯田市に本社がある丸西産業の協力農家さんです。
そんなタスパス出荷組合とモスバーガーをつなぐ架け橋となっていただいているのが、丸西産業の相川さんです。
「生産者の皆さんはとても勉強熱心です!そんな皆さんのレタス栽培の手助けをできればと思い、日々圃場に行き、情報共有に努めています。」と相川さん。
丸西産業の川上支店に常駐して、他のスタッフの皆さまと共に生産者の栽培に関する相談ごとやアドバイスを行っています。
「野菜に対する熱い想いは、スタッフ全員、生産者の皆さんと同じ想いです!」と相川さんに語ってもらいました。
これからも、生産者の皆さまと強力タッグを組んで、おいしい野菜をお客さまに届けてください!!

生育状況を確認する渡辺さんと相川さん

生育状況を確認する渡辺さんと相川さん

整理整頓された集出荷場

整理整頓された集出荷場

渡辺さんとスタッフの皆さまから一言

最後にモスバーガーのお客さまに向けて一言いただきました。
「モスのハンバーガーは、おいしいハンバーガーばかりです。そのハンバーバーのおいしさを引き立てられるよう、鮮度・食味のよいレタスとグリーンリーフの栽培をしていきます!どうぞ自分たちの野菜も食べてください!」と渡辺さん。

「近くにモスのお店はありませんが、遠くても必ずお店に食べに行ってます!ハンバーガーに負けないくらい、おいしい野菜をお店に届けます!」と丸西産業のスタッフの皆さま。

渡辺さんのレタスとグリーンリーフは、今が本格的な出荷です!
愛情たっぷりのレタスとグリーンリーフを、ぜひ、モスバーガーのお店でご賞味ください!!

タスパス出荷組合と丸西産業の皆さま

タスパス出荷組合と丸西産業の皆さま

Text by Kitsunai