2017年5月
長野県小諸市
株式会社モスファーム信州(レタス)
代表取締役社長 山本 裕之さん
産地だより 2017年5月
今回の産地だよりは、2015年4月に、(株)モスフードサービスと信州・浅間山麓でレタスを中心とした高原野菜を生産する(株)ベジアーツと共同出資で設立された(株)モスファーム信州のご紹介です。
モスファーム信州は、長野県小諸市に設立し、農場は標高700~1,300m地帯に位置します。夏の冷涼な気候を活かして5月~11月の生産拠点とし、食味に優れたモスバーガーの規格に合う、大きくふんわりとしたレタスを中心に栽培。地域農業の振興、若手農業者の育成という面でも、地域貢献、社会貢献を図っています。今回の取材は、レタス栽培が始まったばかりの様子をお届けします。
(株)モスファーム信州 代表取締役社長 山本 裕之さん
山本さんは現在37歳。大学卒業後、父親の仕事(北佐久園芸株式会社)を手伝う形で農業に携わり現在15年目。「農業が楽しい!」と明るい表情でいつもモスのスタッフに熱く語ってくれます。取材の当日も素敵な笑顔で迎えてくれました。
「モスファーム信州のこだわりは?」と聞くモスのスタッフに対して、山本さんはすぐに「おいしい野菜です」と胸を張って答えてくれました。独自に開発した動物性と植物性の有機物をバランスよく配合し、ミネラルが豊富に入ったオリジナルの微量要素資材を使うことで、硝酸含量の少ない野菜づくりを目指しています。「野菜は食べ物です。食べ物と思えばおいしくつくりたい。料理人と一緒ですよ」という言葉に感激しました。
施肥(肥料をまく)は、定植の2週間前までに済ませることで、吸収がよくなるそうです。
また施肥を機械で行うと畑に入った機械の重みで土が固くなるため、スタッフが手作業でまいているそうです。「土がやわらかいと根はりや水はけがよくなり、元気なレタスを栽培できる」と山本さんはおっしゃっていました。
農場長 尾花 公志さん
尾花さんは現在29歳。5年前に農業に可能性を感じて、なんと美容師から農業に転身されたそうです。
農場長の役割は、スタッフへの栽培指導、作業の組み立て、作業班の統括などを行っているとのこと。
昨夏の猛暑、9月の曇天についてはモスファーム信州の野菜も例外なく、今までに経験のない猛暑・干ばつ、長期曇天の影響を受け、レタスの収量が半減してしまったそうです。尾花さんは失敗談を交え語ってくれました。「品種選定から見直し、また、土に保湿資材を混ぜるなど、やり方を変えて行きますので大丈夫です」と、この教訓を生かし、力強く語ってくれました。モスの協力農家さんは様々な経験を糧に成長しているのだと改めて認識しました。
苗についてお話を聞いてみました。
「苗づくりの段階からレタス栽培に携わっています。種を蒔き(播種)、15~20℃の部屋で発芽をさせ、その後ハウスへ移し育苗を行います。育苗中は、ほぼ毎日灌水し20日前後で圃場に定植します。
自社で苗づくりを行うことで、コストを下げることや生産量調整や定植タイミングが図れます」と尾花さんが話してくれました。
こだわりの手植え
「定植は、手植えにこだわっています」と話す山本さん。浅くなると根が乾きやすくなり枯れの原因になり、斜めや深過ぎると丸くならず、タケノコのような形になってしまい、味も落ちてしまうそうです。また定植直前は、苗の根に十分水分を吸わせ、その水分で根が活着するようにし、その後レタスには、ほとんど灌水を行わずに、マルチ(※)内の水分で生長させると話してくれました。
- ※「マルチ」…土の保温や保湿による生育促進、病害虫の発生や雑草を防止するために、畑のうねを覆うポリエチレンなどのフィルム資材。
農業での雇用について
モスファーム信州と(株)ベジアーツは社員の雇用と育成に積極的に取り組んでいます。昨今の農業の大きな問題の一つに農業後継者不足の問題があります。モスバーガーのアグリ事業も「農業後継者の育成を推進します」という目標を掲げて、農業法人を積極的に応援しています。「私たちは社員という立場でもおいしい野菜をつくれる技術を常に研究しています」と山本さんは言います。これからの日本の農業を支えるためには、個人経営者を増やすだけでなく、農業を会社として発展させていくことが大切なんだという思いが伝わってきました。
最後にモスのお客さまに一言
最後に山本さんにモスのお客さまに向けて一言いただきました。
「モスバーガーに出荷しているということは私達にとっても自慢です。私達がつくったおいしい野菜をモスバーガーのお店に来ておいしく食べてください!」
山本さんのレタスは暑い夏を乗り越えて、11月上旬までの出荷です。今年味わえるのは5月下旬からですが、ぜひお店でおいしく食べてください。
Text by Iigusa