産地だより 2017年1月

2017年1月
岐阜県海津市
JAにしみの海津トマト部会(トマト)
代表生産者 牧野 友彦さん

今回の産地だよりは、岐阜県海津市でトマトを栽培している、JAにしみの海津トマト部会(トマト)の代表生産者、牧野友彦さんをレポートします。
岐阜県海津市は岐阜県の最南端に位置し愛知県に隣接しています。東側県境には木曽・長良川が流れ、市の中央部には揖斐川が流れています。東海地方の代表河川に囲まれた、自然豊かな田園風景が広がっている、とても風景がきれいな街です。
それでは、牧野さんのトマト栽培のこだわりについてお話しします。

トマト栽培に対する思い

牧野さんは、トマトと米を栽培していた農家で育ちました。最初は、会社勤めをしていましたが、ご両親の影響は大きく、「おいしいトマト」をどうしても作りたいという思いから結婚を機に就農しました。
現在ではますます「おいしいトマトを作る!」という思いが強くなり、トマト嫌いの人が、こだわりを持って育てたトマトを食べて、「おいしい!こんなおいしいトマトを食べたのは初めてだよ!」と言ってもらえる時が、「トマトを育てていて一番の喜びだよ」と話してくれました。
そんな牧野さんですが、今では栽培面積が22ヘクタール、部会員が67名のJAにしみの海津トマト部会の部会長を務めています。
JAにしみの海津トマト部会は、化学合成農薬、化学肥料などの節減に取り組む「ぎふクリーン農業」を取得し、「安全・安心・健康なトマト」の栽培に取り組んでいます。
モスのお店には、そんなこだわりのトマトが届いているのです。

にしみの海津の出荷センター

にしみの海津の出荷センター

トマトハウスの様子

トマトハウスの様子

トマト栽培でのこだわりその1

ハウスに入ってみるとトマトの木の背丈の違いに気づきました。「品種の違いですか?」と尋ねたところ、「いえ、同じですよ」と答えてくださったのが部会会計の福田さんです。
今期は、試験的にトマトの誘引(木が倒れないように、天井から吊り上げる)方法を2種類試してみたそうです。背丈の低い方が「従来型の誘引方法」で背丈の高い方が「新しい誘引方法」とのこと。
福田さんいわく、「従来型ですと、トマトの玉がどうしても土についてしまい傷みやすい、玉伸びもよくなかった。また、下を向いて作業するので作業効率もよくないことに気づきました」とのこと。
まだ、収穫が始まったばかりですが、「新しい誘引方法」で育っているトマトの木は、「玉の肥大もよく順調です。花落ちも少なくなり、収量も上がりそう。また、作業効率も向上して、試してよかったです」と説明してもらえました。
また、ハウス内の上部に黄色いテープが張られているのが目に付きました。福田さんに尋ねたところ、「防虫対策用のテープです。」とのこと。「よく見てください。2種類あるんですよ。太い方が防虫粘着補虫紙で細い方がラノーテープです。どちらもオンシツコナジラミ対策です」とのこと。「特にラノーテープは特殊なテープでオンシツコナジラミの卵が孵化しないよう抑制することができます。オンシツコナジラミの増殖抑制に一役かっています」と説明してくれました。
こんなところにも、薬剤をむやみに散布することなく、環境にやさしい栽培に取り組んでいるんだなと思い、感心しました。

左が従来型で右が新しい誘引方法

左が従来型で右が新しい誘引方法

左がラノーテープで右が防虫粘着補虫紙

左がラノーテープで右が防虫粘着補虫紙

トマト栽培のこだわりその2

土壌管理にも気を使っています。現在トマトを栽培している圃場の土は、もう何十年も使用しているものです。土壌は、使用期間が長くなると土壌病害を起こし易くなります。そこで部会では、青枯れ病等の土壌病害の対策として土壌消毒を行っています。薬剤土壌消毒ではなく、「糖蜜」を使用して「土壌還元消毒法」をおこなっています。行う時期は栽培が終わった後、7月頃に行います。やり方としては糖蜜を適正に希釈し、灌水チューブで圃場全体に灌水します。土にしみ込んだ糖蜜が発酵し、菌を酸欠にさせて殺菌するという方法です。また、この時期は、太陽熱消毒も並行して行い、殺菌効果をさらに上げます。
さらに圃場内には稲わらが敷き詰められていました。稲わらには、防草と除湿効果があるそうです。稲わらは、あとで土にすき込み肥料として使用します。
「安全で安心なトマトを栽培するには、この土壌管理にたどり着きました」と牧野さんが説明してくれました。
ハウスの中ではさらには目に付くものがありました。
「炭酸ガス発生機だよ。今年は、新たに6軒の部会員が導入したよ。」と説明してくれました。その効果について牧野さんに尋ねたところ、「主に光合成を促進するものだよ。真冬は外気温が低いため、換気を多くするとハウス内の気温は一気に低下してしまう。そのため栽培適温を維持するためには、換気はあまりできないんだ。換気が少ないと光合成によってハウス内のCO2を吸収し尽くし、光があっても光合成ができないCO2飢餓の状態になってしまう。そこでこの炭酸ガス発生器が活躍してくれるんだ。」と牧野さんが教えてくれました。
栽培が難しい冬の時期に、このような設備の力を借りて、おいしいトマトを出荷しているんだと感じました。

炭酸ガス発生器

炭酸ガス発生器

稲わらは防草と除湿効果があります

稲わらは防草と除湿効果があります

日常のハウスの管理は?

「ハウスの管理で気を使っていることはいくつもあるんですが、温度、湿度、CO2濃度、照度に関しては、パソコンでハウスの状況がすぐにわかるように管理しています」と福田さんが説明してくれました。
ハウスの中に、「プロファインダー」という装置を設置し、ハウス内環境の状態およびその変化を視覚的に理解することができるようになり、栽培がし易くなったとのことです。収量の増加も期待できると説明を受けました。
ただ、「日常の栽培管理はこのような機器類で管理がし易くなりましたが、長期的な栽培方法や品種選定、また講習会・交流会の開催はJAにしみの職員安立さんと相談して決めてます」と牧野さん。安立さんは定期的に圃場を訪問し、部会員の相談を受けて情報共有の手助けを行っています。
このような方がいて、「安全・安心・健康でおいしいトマト」が収穫されているのだなと改めて思いました。

パソコンでハウスの状況を説明する福田さん

パソコンでハウスの状況を説明する福田さん

生育状況の確認風景です

生育状況の確認風景です

整備されたハウス内

整備されたハウス内

収穫されたCF桃太郎Jです

収穫されたCF桃太郎Jです

牧野さんからのメッセージ

牧野さんにモスバーガーのお客さまに向けて一言いただきました。
「嫌いの人でも、トマトがおいしいと言ってもらえるよう日々努力しています。モスバーガーに入っているトマトがおいしいからまた食べに来たんだよって言ってもらえるようにこれからも愛情込めてトマトを栽培します。」と牧野さん。
JAにしみの海津トマト部会のトマトはこれからが本格的な出荷です!
こだわり抜いた栽培と愛情たっぷりの牧野さんのトマトを、ぜひ、モスバーガーのお店でご賞味ください!!

左から安立さんと牧野さんと福田さん

左から安立さんと牧野さんと福田さん

Text by Kitsunai