2016年12月
静岡県菊川市
野菜くらぶ静岡(レタス)
生産者 深川 知久さん
産地だより 2016年12月
今回の産地だよりは、静岡県菊川市でのレタス、グリーンリーフの協力農家さんである、野菜くらぶ静岡の深川さんの、レタス栽培をレポートします。
深川さんは、会社勤めから転職(新規就農)し、今年で8年目を迎えます。
レタス栽培に携わったきっかけは?
深川さんは、もともと農業がやりたくて、大学、大学院では農学を専攻されていたそうです。しかし卒業前に、お母さまへ「農業をやりたい」と伝えたところ、猛反対を受け、『一度は会社で働きなさい』と言われ、一旦農業をあきらめ、大手メーカーに就職されました。
深川さん曰く、「母は、会社勤めになれば、そのうち気が変わると信じていたはず」と笑いながら話してくれました。
そして、就職して2年半の時のこと、現在所属している『野菜くらぶ』の澤浦社長のところに、営業に行ったのがきっかけで、ふたたび農業を志す思いが蘇り、就農を決意し、
群馬県昭和村にある『野菜くらぶ』が行っている「独立支援プログラム」(農業技術の習得から独立後まで、新たに農業を始めたい人をバックアップするプログラム)で、群馬県昭和村で5カ月、静岡県菊川市1年半、計約2年間の研修を終え、独立されました。
就農して、当初は?
農業をはじめて、理想と現実の違いを身に染みて感じたそうです。
「当初は、晴耕雨読の生活ができると思っていたが、力仕事が多く、晴れでも、雨でも関係なく仕事で、体重は1カ月で一気に10㎏痩せてしまった」と話してくれました。
そんな深川さんも、現在は、モスバーガーに出荷するレタス、グリーンリーフを中心に、サニーレタス、ロメインレタスなどの多くの葉物野菜を36ヘクタールの圃場で栽培されています。
レタス栽培方法の苦労は?
静岡県菊川市では、田んぼの裏作として、レタス栽培をしています。
田んぼを使う利点は、米づくりのために水をはることで、害虫や病気をリセットすることができること。逆に難しい点は、その「水」対策。地中海が原産とも言われるレタスは、乾燥を好み、水がたまりやすい構造になっている田んぼで、そのまま栽培すると、根腐れなどが起こり、レタスが病気で腐ってしまったり、また、大きくならなかったりするそうです。
それらを防止するために、田んぼ周りに溝を掘り、水はけをよくし田んぼが乾くようにしなければならないそうです。シーズン中は、天水(雨水)だけで栽培するとのことで、理想は、乾燥しているぐらいがレタスにとっていい環境なのだそうです。
レタス栽培のこだわり
深川さんのレタスは、特別栽培農産物基準(その農作物が生産された地域の慣行レベルである化学肥料、農薬の使用量、使用回数を50%以下にして栽培された農作物)以下での栽培を心がけています。
農薬の使用を少なくする分、虫が多く発生することもあり、収穫量が半減することもあるそうです。そして化学肥料も、地温が15℃以下だと農作物に有益な微生物が働かないため、そのような場合のときにだけ、化学肥料を使用します。野菜が本来持っている力で成長できるよう手助けをする意識で栽培しているそうです。
冬のレタスの栽培方法として、トンネル栽培(畝をビニールなどでトンネル状に覆って作物を栽培する方法)を実施しています。レタスが育ちやすい環境づくりのため、トンネル内の温度維持と湿度のバランスを管理するため、天候を見ながら、トンネルにかかっているビニールを細かく上げたり、降ろしたりしてコントロールしています。その結果、できる限り農薬や化学肥料を使用せず、病気にもなりづらく、良いレタスが栽培できるそうです。
レタス栽培のこだわりその2
モスバーガーに出荷するレタスは、7分結球を理想としています。収穫が遅くなると「ギュッ」と詰まった巻いたレタスになり、葉が固く、芯が太くなり、味、食感が悪くなります。またモスバーガー店舗での仕込みがやりづらくなるため、7分結球で出荷しています。
この状態で出荷するために、日々、天候や気温に注意し、生育状況を確認しながら収穫タイミングを計っているそうです。
深川さんからのメッセージ
深川さんにモスバーガーのお客さまに向けて一言いただきました。
「おいしいレタスをお届けしたいと言う想いで栽培しました。レタスの味を感じながら召し上がってください!!」
深川さんの愛情と情熱で栽培したレタスはこれからが本格的出荷です!!ぜひ、モスバーガーのお店でご賞味ください!!
Text by Iigusa