産地だより 2015年6月

2015年6月
宮城県栗原市 (株)ベジ・ドリーム栗原(赤・黄パプリカ)
栽培管理 手塚 祐賢さん

今回の産地だよりは、5月19日より販売を開始しましたモスバーガーの新商品、「こだわり野菜のパプリカサラダ(さっぱり和風ドレッシング)」、ごちそうサラダ「パストラミポークとパプリカ ライ麦パン付き(さっぱり和風ドレッシング)」で使用している、赤・黄パプリカを栽培する、宮城県栗原市の協力農家さんである、ベジ・ドリーム栗原の手塚さんの、パプリカ栽培にかける情熱をレポートします。

(株)ベジ・ドリーム栗原の取組みとは?

(株)ベジ・ドリーム栗原さんは、宮城県内に3つの農場(温室)を保有しており、全ての農場でパプリカの養液栽培を行っています。一番大きい第2農場は、栽培面積だけで東京ドーム約1個分、国内最大級の施設です。ただ、日本国内で流通しているパプリカの9割がオランダ・韓国産といった海外からの輸入品で、(株)ベジ・ドリーム栗原さんを含む国産パプリカは1割にも達していないそうです。
(株)ベジ・ドリーム栗原さんの企業理念は、「①国内自給率の低い農産物を生産し、新たな価値・食文化を提供すること」、「②元気な地域の人たちと、安心安全な農作物の生産に努めること」、「③省エネに努め、環境に配慮した農業を行うこと」の3つです。
パプリカの養液栽培はまさに、(株)ベジ・ドリーム栗原さんの企業理念に合った作物と言えます。
(株)ベジ・ドリーム栗原さんは、「安心・安全」「新鮮で美味しい」パプリカを、一年を通じて安定して生産・供給しており、国産農産物の自給率UPに貢献しています。

(株)ベジ・ドリーム栗原さんのパプリカ施設

(株)ベジ・ドリーム栗原さんのパプリカ施設

(株)ベジ・ドリーム栗原さんの看板

(株)ベジ・ドリーム栗原さんの看板

手塚さんのパプリカ栽培との出会い

(株)ベジ・ドリーム栗原で、栽培管理をしている手塚さんに、パプリカ栽培との出会いについて、お聞きしました。
「私が農業を始めたのは、ある企業との出会いがきっかけでした。その企業は、施設農業に興味を持っていて、特にその分野では世界でも最先端をいっているオランダの農業、とりわけ、パプリカ栽培に目を向けていたのです。2000年当時、日本では、温室栽培をするパプリカは、ほとんどない時代でしたので、私自身も非常に興味を持ち、就労させていただいたというのが、パプリカ栽培との出会いです。」
ここから、手塚さんのパプリカ栽培に対する奮闘劇が始まるのです。

パプリカを栽培する施設園芸

パプリカを栽培する施設園芸

パプリカを収穫する手塚さん

パプリカを収穫する手塚さん

パプリカ栽培で苦労したことは?

手塚さんに、パプリカ栽培で苦労したことについて聞いてみました。
「パプリカは、感受性が強く管理を間違えると病気になり、せっかく着果させた実を落としてしまうことがあります。パプリカ栽培を始めた頃、生育させることは難しく、苦労しました。オランダの栽培方法を学び、実行していますが、オランダで収穫されるほどの量を生産することは難しく、また、最大の問題である日本の夏という高温、多湿時期にいかに実を結実させるかということについては、未だに苦労しています。」と、話していました。
また、手塚さん曰く、「日本の気候は、オランダの気候と大きく異なっています。特に夏の夜温が高いため、成長の方が良くなりすぎて、着果ができないということが起こります。問題解決のために、品種の選定や、栽培方法について、日々研究することにより、栽培技術は、少しずつ向上してきたと言えますが、今後も大きな課題だと思っています。」と、パプリカ栽培の難しさを話してくれました。

パプリカの花

パプリカの花

収穫を待つパプリカ

収穫を待つパプリカ

パプリカ栽培のこだわりその1

野菜の施設園芸において最も進んでいる国のひとつがオランダです。(株)ベジ・ドリーム栗原さんの施設も、オランダ式の最新鋭の設備を導入しており、栽培方法もオランダ式を取り入れています。通年で栽培・収穫出来るよう、温室内を冬でも20℃以上に保ち、成長するパプリカの枝を天井から吊るした紐に巻き付けながら、約10カ月掛けて最高5メートルの高さまで伸ばして行くそうです。赤や黄色のパプリカの実が高い枝になっている光景は、さながらジャングルのようです。
(株)ベジ・ドリーム栗原さんは、種まきから自社で行い、育苗室で苗を一定の大きさまで育てたのち、栽培室で定植します。
また、温度・湿度・灌水を制御しながら育てたパプリカの収穫・選果・箱詰め・出荷までを一貫して行うため、一つ一つのパプリカがどのような環境で生育したか栽培履歴が把握できるそうです。
また、なるべく農薬を使わずに済むよう、天敵による害虫駆除を行い、防除に努めています。最新鋭の環境制御システムで、パプリカの生育に最適な温度・湿度・CO2濃度、光強度が設定可能ですが、外部の天候、特に日光によって生育が大きく左右されるため、コンピュータに任せっきりではなく、日々刻々と変化する環境に合わせて、設定を細目に調整することが重要であり、最後は生産者さんによる管理の差が品質の差を産み出すそうです。

パプリカの種を発芽させる発芽室

パプリカの種を発芽させる発芽室

パプリカの苗を育てる育苗室

パプリカの苗を育てる育苗室

パプリカ栽培のこだわりその2

パプリカは、赤や黄色の鮮やかな彩りと甘くて肉厚なのが特徴ですが、栄養価が高いことはあまり知られてないようです。
手塚さん曰く、「特に、ビタミン類やカロテンが豊富に含まれ、高い鮮度を保ったままお客様に届くよう収穫から納品までを短期間で行い、国産品ならではの鮮度を追求しています。」と、話していました。
(株)ベジ・ドリーム栗原さんのパプリカは、加温可能な温室での養液栽培であり、年間を通して栽培可能ですが、生育スピードは日射量にほぼ比例するため、日照時間が長い春夏は収穫量が多く、日照時間が短い冬場は極端に収穫量が落ちてしまいます。
そこで、年間安定供給を可能にするため、一つの農場を幾つかの部屋に分け、異なる時期に作付けを行うことで、いわば、産地リレーではなく、温室リレーを行っています。
こうした安定供給が出来るのは、(株)ベジ・ドリーム栗原さんの強みだと思います。

パプリカの生育状況を説明する手塚さん

パプリカの生育状況を説明する手塚さん

パプリカの収穫、運搬に使用する機械、ボガート

パプリカの収穫、運搬に使用する機械、ボガート

ボガートに積み込まれたパプリカ

ボガートに積み込まれたパプリカ

手塚さんからのメッセージ

手塚さんにモスバーガーのお客さまに向けて一言頂きました。
「パプリカは、栄養価が高く、美容にも非常に良いです。糖度も比較的高く、それだけでも、みずみずしく、甘く、美味しい果物の様な野菜です。丹精を込めて、皆で栽培しておりますので、ぜひご賞味ください!!」
手塚さん、(株)ベジ・ドリーム栗原の皆さまの「情熱のパプリカ」を是非、モスバーガーのお店でご賞味ください。

手塚さん

手塚さん

(株)ベジ・ドリーム栗原の生産者の方々

(株)ベジ・ドリーム栗原の生産者の方々

Text by Osako