産地だより 2015年1月

2015年1月
長崎県南島原市 ながさき南部生産組合(トマト)
トマト部会部会長 近藤 基さん

今回の産地だよりは、長崎県南島原市での協力農家さんである、ながさき南部生産組合の近藤さんの、トマト栽培にかける情熱をレポートします。
近藤さんは、今年からトマト部会長となりました。
また、ながさき南部生産組合さんでは、野菜の品目毎に若者たちで構成される青年部があり、近藤さんは、青年部にも在籍し活動しています。

ながさき南部生産組合さんの取組みとは?

ながさき南部生産組合さんでは、「環境保全型農業」を経営理念として取り組んでいます。
「環境保全型農業」とは、「自然と共生し、環境を破壊しない農業」を意味します。
堆肥による土づくりに努め、農薬を最小限に抑えた「有機」「減農薬」栽培を実践し、生態系を重視した生産方法を追究した活動をしています。
また、「農家さんの自立」、「食べていける農業の実践」を大きく掲げています。
その中でも、近年の大きな取り組みとして、直売所「大地のめぐみ」を長崎県諫早市と福岡県春日市に、現在16店舗を展開しています。
その取り組みにより、農家さんが育てる野菜を産地から直送し、より多くのお客さまに、安全で美味しい状態でお届けしています。

直売所「大地のめぐみ」

直売所「大地のめぐみ」

直売所「大地のめぐみ」の店内

直売所「大地のめぐみ」の店内

ながさき南部生産組合さんのシンボルマークの「てんとう虫」の由来とは?

ながさき南部生産組合さんは、「てんとう虫」をシンボルマークに掲げています。
「てんとう虫」は、アブラムシをはじめ、田畑の害虫を好んで食べてくれます。
「てんとう虫」が多数生息することで、病害虫を減らし、結果的に農薬の使用を減らすことに繋がります。
生態系を守りながら、安全な農産物の生産に貢献する「てんとう虫」そのものの存在が、ながさき南部生産組合さんの経営理念と重なり、シンボルマークとなった由来だそうです。
また、シンボルマークに描かれている「てんとう虫の親子」の絵は、次の世代へ引き継ぐという思いを込めて、そして、バックのグリーンは、「みどり豊かな大地」を象徴しています。

ながさき南部生産組合さんの社屋

ながさき南部生産組合さんの社屋

ながさき南部生産組合さんのシンボルマーク

ながさき南部生産組合さんのシンボルマーク

近藤さんの農業との出会いとは?

近藤さんは、東京で生まれ育ちました。
東京で出会った奥さまの実家が、長崎で専業農家を営んでいて、結婚を機に長崎の地で農業に携わる決意をしたそうです。
ちょうどその頃、奥さまのご両親が、長崎で新しいハウスを建てており、そのハウスでトマトを栽培することも決まっていました。
結果、近藤さんは、新しく建てたトマトハウスの栽培管理を任されたのです。
農業経験がまったくなかった近藤さんは、栽培が難しいとされるトマトと向き合うこと11年、数々の失敗を繰り返しながら、多くの諸先輩方からアドバイスをいただき、ようやく「自分のやり方」というものを模索できるようになったそうです。
11年前、諸先輩方はトマトの木を見ながら、「ほら、水が欲しいと言っているだろう。」「寒がっているだろう。」等と、指導してくれたのですが、さっぱり意味不明で、理解することができなかったそうです。
今では、その指導の意味を理解できたことで、「自分のやり方を確立することができた。」と、話してくれました。

ながさき南部生産組合トマト部会(左から近藤さん、中村さん、近藤さんの奥さま)

ながさき南部生産組合トマト部会(左から近藤さん、中村さん、近藤さんの奥さま)

管理の行き届いたハウス

管理の行き届いたハウス

トマト栽培に不可欠な要素とは?

近藤さんは3年ほど前、モスバーガー産地交流会の場で、他県の生産者の方々と出会い、視察や勉強会等を通して、「肥料についての知識」、「栽培技術」、「トマトの木の見極め方」を勉強しました。
この経験が、近藤さんの栽培方法を見直す大きなきっかけとなったそうです。
必要最低限の肥料分を、生育ステージに合わせて適正に与えていくこと。
そして、温かい時期、寒い時期は、環境に合わせて必要な肥料分を変化させること。
試してみる、比べてみる、計測してみる、ひとつひとつを追究し、考えながら、現在はトマトを栽培しています。
最近では、ハウス内の温度も湿度も逃がさない管理方法「飽差管理」を実施、検証しているそうです。
温度と湿度は、トマトを生育させる光合成の促進に必要不可欠であるため、ハウス内には温度・湿度計を設定し、定期的に確認しています。
また、トマトの木に土の栄養分を吸わせるために、土の地温も計測しています。
近藤さん曰く、「温度、湿度はどれくらいがトマトの生育に適しているのか?土の地温は、何度が良いのか?を日々、検証しています。」と、トマト栽培にかける情熱を語ってくれました。

ハウス内に設置している温度・湿度計

ハウス内に設置している温度・湿度計

土の地温を計測する近藤さん

土の地温を計測する近藤さん

トマト栽培で苦労したことは?

近藤さん曰く、「どの農産物でも同じことですが、やはり天候に左右されることです。」と話していました。
それは、天候不順に左右されない栽培管理技術の向上、「つまり、1時間単位、1日単位、1カ月単位、1年単位と、天候に合わせた管理をしていかないと、トマト栽培がうまくいかない。」と話していました。
結果、その管理の積み重ねが、安定した収量、美味しいトマトの収穫につながり、
また、栽培管理技術の向上により、これまでと同じ品種のトマトであっても、食味が変わることも実感しているそうです。
「天候に合わせた管理、進めていくべきか?止めておくべきか?小さな判断も、ひとつひとつが技術である。」と、近藤さんは話していました。

生育中のトマト

生育中のトマト

収穫したばかりのトマトを食味

収穫したばかりのトマトを食味

近藤さんからのメッセージ

近藤さんにモスバーガーのお客さまに向けて一言頂きました。
「海と雲仙に囲まれた、長崎県島原半島。一度食べたらクセになる!!そういうトマトを作りたくて、こだわりを大切に、栽培を続けています。」
近藤さんは、3人の子供がいらっしゃいます。トマトを食卓に出すと、美味しいものだけを選んで食べるそうです。
時に、「イマイチ!!」と言って残されたことも。
「そんな、素直で厳しい子供達に、いつも笑顔でモリモリ食べてもらえるよう、そしてモスバーガーのお客さまが、笑顔になっていただけるよう努力を重ねていきたいです。」と話されていました。
近藤さんの愛情と情熱で栽培したトマトは今が旬です!!是非、モスバーガーのお店でご賞味ください!!

近藤さん

近藤さん

Text by Osako