2014年10月
千葉県富里市 テンアップファーム(トマト)
栽培管理責任者 小倉 強さん
産地だより 2014年10月
富里市は千葉県の北部中央にあり東京都心から約60km、北総台地のほぼ中央に位置しており成田国際空港から4kmの所に位置します。スイカの産地として有名であり、生産高、出荷量ともに全国第2位を占めています。
今回の産地だよりはテンアップファーム栽培管理責任者 小倉 強さんのトマト栽培にかける情熱とモスバーガーのトマトを栽培するための栽培技術、工夫、そしてモスバーガーの規格に合うトマトを出荷するために実施された「トマト目揃え会」についてレポートします。
モスバーガーのトマト栽培との出会い
モスバーガーのトマト栽培との出会いは10年前で、当時テンアップファームの社長からテンアップブランドの美味しいトマトの産地化を指示されたそうです。そこで小倉さんは何が何でもテンアップファームのトマトをブランド化するために、美味しいトマトを栽培する方法、技術などについて外部の有識者に指導を仰ぎトマトの栽培を始めたそうです。
ちなみにテンアップファームの設立目的は「有機肥料」、「ミネラル分」を使用することで栄養価の高い野菜を作ることであり、産地名(社名)であるテンアップファームの「テンアップ」は「ミネラル10%アップ」という意味だそうです。
テンアップブランドのトマト品種とは?
テンアップファームでは、美味しいトマトの産地としてブランド化するために、「みそら」という品種のトマトを栽培しています。
このトマトの特長は糖度だけではなく酸味が適度にあってバランスが良く、何といっても食味が良い美味しいということです。
また、トマトのゼリーの部分の部屋数が多く、モスバーガーで使用する輪切りに適したトマトでもあります。形も大玉(モスバーガーの規格サイズであるL玉)が多収穫できる品種だそうです。しかし、小倉さん曰く「決して栽培しやすい品種ではなく、現状ではモスバーガーさんの規格に合格するのは50%未満です。」と話していました。
栽培の難しい「みそら」は全国でも栽培されている農家さんはあまり多くないようです。
そんな難しい品種を栽培している小倉さんは、「モスバーガーさんのために」「誰が、何時、どこで食べても美味しい」を目標に、日々試行錯誤して食味の良いトマト栽培に挑戦しています。
モスバーガートマトの栽培方法とは?
小倉さんのテンアップブランド構築とモスバーガーへの出荷品質クリアーのための取組みは品種選定だけではありません。栽培方法にも挑戦し続けています。
それは低段密植という栽培方法です。低段密植とは多段栽培よりも密植して、1から3花房程度を残して摘芯(頂芽を摘み取り、わき芽の発育を良くし側枝の発生を促す)する短期栽培を繰り返す栽培方法です。ちなみに第1花房の上で摘芯する場合は1段密植栽培であり、第2花房の上で摘芯する場合は2段密植栽培と言われます。
小倉さんの栽培方法は3段の低段密植栽培を取り入れています。低段密植栽培のメリットは多段栽培と比較して高糖度果実が生産できるそうです。また、モスバーガー規格サイズであるL玉の生育には適しているそうです。でもその反面、短期栽培を繰り返すため、苗代、定植の回数は多段栽培の倍以上かかり生産コストが高くなってしまいます。
それでも小倉さんはモスバーガーを利用されるお客さまが「美味しい!!」と喜んでいただけるために、あえて手間のかかる方法でトマト栽培をしているのです。
トマト栽培で苦労したことは?
小倉さんにトマト栽培で苦労したことを聞いてみると、栽培方法もさることながら栽培管理も大変であるということでした。
1番はモスバーガー規格のトマトを増やすことだそうです。なぜならば出荷可能範囲の規格は「大きさ=L玉サイズ」(モスバーガーのバンズと同程度の直径サイズのトマト)、「形」、「色目」(青くても赤すぎても駄目)、「見た目」(裂果、キズは駄目)と決められており、管理を細目に実施しなくては出荷可能範囲規格のトマトを収穫することができないからです。
そのためには天候、温度、日射量、水分量に注意しながら管理しなければなりません。
特にトマトを大きく、そして食味良く生育させるためには、葉っぱに隠れているトマトが陽にあたるよう葉を折り曲げたり、先端を切ったりする「玉だし」作業を細目に実施しているそうです。
トマト目揃え会
モスバーガーで使用する出荷可能範囲のトマトはどのようにして決めているのか?
テンアップファームではモスバーガーのトマト栽培に携わっている生産者さん全員が集まり、収穫前に「トマトの目揃え会」を開催して、出荷可能範囲内はどこまでかを互いに確認しながら決めています。
テーブルの上にはトマトを上位からA~Dとランク付けし、さらに規格外までを並べ、目と触手で確認します。また、集荷時の色目もこの範囲までとトマトを並べて確認します。
この目揃え会により、モスバーガーの規格に合ったトマトがお店に届くのです。
適切な栽培方法と栽培管理を行ったうえで、出荷可能範囲内でのトマトを収穫し出荷するまでの道のりは簡単ではありません。だからこそ、この道のりを超えたトマトはテンアップブランドの象徴であり美味しいトマトなのです。
小倉さんからのメッセージ
小倉さんにモスバーガーのお客さまに向けて一言頂きました。
「トマト栽培は今でも試行錯誤の毎日ですが、美味しいトマトをモスバーガーのお客さまに召し上がっていただきたい気持ちで一杯です。まだまだトマト栽培でやらなくてはならないことはたくさんありますが、さらなるテンアップブランドの産地化と美味しいトマトの栽培でモスバーガーのお客さまの信頼にお応えできるよう努力しますのでよろしくお願いいたします。」
10年もモスバーガーのトマト栽培に携わっている小倉さんの情熱は必ずモスバーガーのお客さまの心に伝わると確信しました。そして信頼とは決して妥協しないトマト栽培への情熱であるということも。
そんな情熱たっぷりのテンアップファームのトマトは11月頃まで関東地方のモスバーガーのお店に出荷されています。是非、モスバーガーのお店でご賞味ください!!
Text by Osako