熊本県八代市 モスファーム熊本(ミニトマト) 八代・山都農場長 山本 一秀さん
熊本県八代市は、熊本県南の中心的な市で、県下第2の人口を有する田園工業都市です。
また、日本三大急流の一つである球磨川が分流して不知火海に注ぐ三角州地帯の北岸に市街地があります。江戸時代以来の干拓によって広がった平野部では農業が盛んで、畳表の原料となる「いぐさ」の生産は日本一で、国産の約2割を占めます。最近はトマトの一大産地としても有名です。
その一大産地に、モスファーム熊本があります。
モスファーム熊本は、1年を通して、生鮮野菜を安定供給しながら特に品質の良いトマトが不足する9月から11月に多くのトマトを出荷することを目指しています。栽培面積も徐々に増え若い元気なスタッフがモスのトマト栽培に取り組んでいます。
モスファーム熊本とは?
2013年4月3日に、モスと熊本県の農業生産法人株式会社うえなか、地元の個人農家との共同出資により、モスファーム熊本が設立されました。
まだまだ出来立ての農業法人ですが、どうしたら良い野菜が作れるのか?お客さまに喜んでもらうには、何をしたらよいのか?スタッフの育成、若手の教育はどうしたらよいのか?を考え、スタッフみんな、お店に来店される「お客さまの笑顔」につながることを第一に考えています。
今回は、そんなモスファーム熊本で行われた、4月から販売されている「こだわり野菜の彩りサラダ」「ベジジュエル」で使用しているミニトマトの定植作業についてお伝えしたいと思います。
山都農場ハウスとミニトマト苗
株式会社モスファーム熊本の山都農場は、山都町にあり、標高500mの場所にミニトマトのハウスがあります。
4月のハウス内の温度は36度、5月になれば40度になります。温度が上がりすぎると、苗の生育障害につながるため、換気扇を使用し、ハウス内を35度に維持します。
受粉をするハチ(マルハナバチ)が、飛びやすい状況をつくることや、ハウス内で作業するスタッフの作業性も考慮しています。
山都農場ハウスでのミニトマト定植その1
ミニトマトの定植は、苗を植えるだけでなく、苗が生育するための環境づくりが必要不可欠です。まず、ミニトマトの苗が生育する段階で、苗を支える柱、「支柱」を設置します。
苗は生育するにつれ、長さが9mにもなります。農業用語では、苗の長さを「段」と言い、「段」とは葉っぱが出たあとに、花が咲いて、最初のミニトマト1房が成ります。このミニトマトが1段目ということです。更にその上に、葉っぱが出て、花が咲いて、ミニトマトが1房なる、この繰り返しにより、2段、3段、4段・・・・となります。
定植後1週間で、苗が1段から2段伸びるというから、驚きです。
山都農場ハウスでのミニトマト定植その2
「支柱」設置後、次にしなければならないことは、誘引ロープの設置です。
「支柱」と同様に、苗が生育するにつれ、重さで倒れないよう誘引ロープで苗を守ります。
9mの長さになる苗をどう生育させるのか?もちろんハウスの高さは9mもありません。
そこで、斜めに苗が育つよう、誘引ロープを使用した「斜め誘引」で苗を生育させます。
この手法は、苗がストレスなく育つように考えられた手法でもあります。農業は科学であると感じます。
山都農場ハウスでのミニトマト定植その3
次に、ミニトマトが生育する段階で必要不可欠なのは、土壌管理です。
土に水分がなければ、苗も育ちません。だからといって、水分のあげすぎも根っこがくさってしまい苗の生育に問題が発生してしまいます。そこで、土に与える水分量は1反(300坪)に対して1,500から2,000ℓと決めて、1日1回水分を与えています。ただし、天候や朝方の土中水分の蒸発に注意しなければなりません。水分の蒸発を確認する方法は、土を覆っているマルチ(ビニール製の保温資材)をめくり、内側に水滴がついているかついていないかを確認します。水滴は、そのまま土に戻り、水分を与えるのと同様の状態になります。
その状況を判断し、毎日、水分量を調整し、苗が元気よく生育できる状況にしています。
ミニトマトカラー(黄色)の品種
今回、定植したミニトマトカラー(黄色)の品種は「イエローキャロル」です。
生育力が強く、黄色鮮やかで、実つき(花が咲いて実がつく)がよく、甘味が強く、とてもおいしいと評判の品種です。現在、黄色ミニトマトの全国生産量は、赤いミニトマトに比べ、圧倒的に少ないのが現状です。その現状をふまえ、モスファーム熊本の山都農場で、夏の出荷に向けたミニトマトカラー(黄色)の栽培を決めました。ミニトマトカラー(黄色)の出荷は6月初旬頃になりそうです。
山本さんからのメッセージ
最後に農場長である山本さんから一言頂きました。
「本来、モスファーム熊本は大玉のトマトを栽培することがメインでありましたが、急遽、モスの要望に応え、ミニトマトカラー(黄色)を栽培することを決めました。会社にとっても、スタッフにとっても新しいことにチャレンジする大きなチャンスであると考えています。モスバーガーをご利用されるお客さまに喜んでいただけることを第一にミニトマトの栽培をしていきたいと思います。」
Text by Osako