青森県十和田市 JA十和田おいらせトマト部会 気田 勉さん

青森県十和田市 JA十和田おいらせトマト部会 気田 勉さん

JA十和田おいらせは、青森県の東部に位置する十和田市や下北半島のむつ市などを含む、2市5町3村の広範囲なエリアをカバーする農協です。トマト栽培は十和田市を中心とする南部地方の内陸部で多く行われ、西にある十和田湖から八甲田山麓の水を合わせて流れる奥入瀬の清流が、太平洋に向かって流れる自然豊かな地域となっております。今月の産地だよりはその地で、モスのトマトを栽培するJA十和田おいらせトマト部会をレポートします。

トムベジ(TOMーVEGE)とは?

トムベジ(TOMーVEGE)とは、T:十和田、O:おいらせ、M:ミネラル野菜のこと。JA十和田おいらせでは、オリジナルのブランドを作り、奥入瀬のきれいな水と中嶋農法に学ぶ健康な土づくりをもとにして、健康維持に欠かせないミネラル分が豊富な野菜、「トムベジ」作りに積極的に取り組んでいます。
産地に到着すると「十和田おいらせミネラル野菜は日本一健康な土づくりによって育まれた安全と美味しさが自慢です」と掲げられた大きなのぼりが目に飛び込んできました。農家さん達の野菜作りへの自信と責任感が伝わってきます。
田園風景が続く美しい地域です

田園風景が続く美しい地域です

農協に掲げられた大きなのぼり

農協に掲げられた大きなのぼり

トムベジは野菜ソムリエからも高評価

トムベジは野菜ソムリエからも高評価

土壌診断を必ず実施

十和田おいらせミネラル野菜は土の健康診断である土壌分析がまず基本となります。通常土壌分析は外部機関でやるのですが、JA十和田おいらせでは、自前で分析機械を持ち、メンバーの土壌を必ず分析しています。その結果をもとに必要な処方をして、栄養バランスを整えた健康な畑をつくり、作物本来の甘味や旨味を引き出したビタミンやミネラル豊富な野菜を作りだしています。
箱に描かれたトムベジのマーク

箱に描かれたトムベジのマーク

選果場の様子

選果場の様子

出荷を待つトマト

出荷を待つトマト

代表生産者、気田勉さん

代表生産者の気田さんの畑を訪問します。
最初に出迎えてくれたのが、牛の鳴き声。気田さんは現在61歳、トマトやながいも、にんにくなど様々な野菜を栽培する農家さんですが、それと共に和牛を肥育されています。
早速、ハウスを確認し、JA十和田おいらせのトマトについて伺います。
「この地域は青森の内陸なので、沿岸部に比べて、昼夜の温度差があります。その分、味には自信があります。それに、津軽地方よりも寒さが来るのが遅いので、少し栽培の期間が長いのが特徴です」と気田さん。
「ただし、梅雨時期に西からの強い風、やませが来てしまいます。その時の湿気による病気を防ぐのが大変です。それに一番気を使っています」改めて、同じ県でも、栽培条件が様々な農業の大変さについて考えさせられます。
牛たちが迎えてくれました。

牛たちが迎えてくれました。

ハウス内の様子

ハウス内の様子

本当の循環型農業

「牛飼いを本業にしたかったのに、なぜかトマト屋さんになってしまいました」と笑う気田さん、当然、肥育している和牛を利用しての農業に取り組んでいます。気田さんが使用する堆肥は、自身で育てた牛の糞をもとにした物、こんなに安心できるものはありません。また、野菜の残渣や緑肥は牛の餌に、まさに循環型農業を実践されています。
「残渣や牧草などの緑肥を、そのまま畑に入れ込んで土に埋めてしまうのは、もったいないと思います。牛に食べさせて、出てきたものを使う。その方が牛の体内にいる微生物を活用できますから」と気田さんは言います。
トマトの状態を確認する気田さん

トマトの状態を確認する気田さん

大きく実ったトマト

大きく実ったトマト

自根栽培を続ける

全国の多くのトマト産地では、土の病気に対応するため、元の品種の根を切りおとして、その部分だけ病気に強い品種をつなげて栽培する「接ぎ木栽培」が一般的です。そうすることによって、病気に強く、食味の良いトマトが栽培しやすくなります。しかし、気田さんは、それをせず、自根で桃太郎という品種を栽培されています。
「この地域は、基本的に自根栽培です。色々な産地で根の部分について、もっと病気に強い品種はないか?と研究しています。でもその研究するエネルギーは、どうやったら接ぎ木しないで栽培できるか?に向けるべきだと考えています」と気田さんは言います。
「やはり良い土を作ることが大切です。そのために土壌分析を活用しています。土の健康バランスを考えると健全に作物をつくることが出来ます。見てください、自根だけどそういった病気は出てないです」と気田さん。昔ながらのトマト栽培に、うまく科学的な土壌分析を合わせたものがJA十和田おいらせのトマトだと感じるエピソードです。
自根栽培の根の様子

自根栽培の根の様子

収穫されたトマト

収穫されたトマト

最後に一言

最後にモスバーガーのお客さまに向けて一言いただきました。
「土壌分析をもとに、酸味や甘さのバランスなど食味にこだわって作ったトマトです。是非モスバーガーで味わってみて下さい」
JA十和田おいらせのトマトは、7月中旬~10月の間、主に東北地域のモスバーガーに出荷されています。是非、お店の野菜黒板で気田さんの名前を探して見て下さい!
Text by Yagi