長野県川上村 八ヶ岳ナチュラファーム 川上 紀夫さん
川上村は、長野県の南東部に位置し、村域全体が標高1,000mという高冷地にあります。また日本最長の河川である千曲川(信濃川)の源流の里として知られおり、夏の冷涼の気候と、豊かで綺麗な水を生かした高原野菜の栽培が盛んであり、なかでもレタスに関しては、日本有数の産地の一つとなっています。今月の産地だよりはその地で、こだわりのモスのレタスを栽培する八ヶ岳ナチュラファームをレポートします。
標高の高い畑を持つグループ
八ヶ岳ナチュラファームの代表である川上紀夫さんは、現在66歳。今から15年前、それ以前より有機質肥料を使った栽培に取り組んでいた川上さんは、こだわって作ったものを、理解してくれる人に販売したいという思いで、地域の同じ思いを持つ仲間達とこのグループを立ち上げました。八ヶ岳ナチュラファームのメンバーの畑がある地域は、川上村でも最も標高が高いエリアに位置していて、川上さんの畑の中には標高1500mの場所もあるそうです。川上村のレタス
川上村でレタス栽培が盛んになったのは昭和40年代頃です。それまでは白菜がメインの作物だったのですが、当時ベトナム戦争を戦っていた米軍の要望もあり、レタスの栽培が広がって行きました。夏でも冷涼で、雨が少なく湿度が低いという川上村の栽培条件が米軍に産地として選ばれた理由でした。それ以降、川上村は、泥はねによるレタスの傷みを防ぐために、畑にビニールのカバーをかぶせるマルチ栽培や、種を畑に直播きするのではなく、苗を作りそれを定植する方法など、様々な栽培方法を普及させて、日本におけるレタス栽培を、先頭に立って引っ張ってきたと言われています。
「山を開墾してレタス栽培を広げて行きました。レタス専門でやるという強い思いを村全体が持っていて、切磋琢磨していくうちに技術が磨かれてきたのだと思います」と川上さんも言います。
八ヶ岳ナチュラファームのこだわり
川上さんに八ヶ岳ナチュラファームのこだわりについて伺いました。「土の微生物を大切にして、土づくりにお金と手間をかけることにこだわってきました」と川上さん。
八ヶ岳ナチュラファームでは、有機質肥料のみで栽培を行い、食べて美味しいと思ってもらえる野菜を作ることを目指しています。使用する肥料もこだわりがあり、川上さんは、食品残渣を完全発酵させてつくるオリジナルの有機質リサイクル堆肥を使用し、循環型の農業を実践しています。
「土づくりが良ければ、良い物が自然と出来る。今までの経験の中でわかったことです」と川上さん語ります。
農業は草との戦い
土の微生物を大切にする八ヶ岳ナチュラファームでは、その微生物を殺してしまう土壌消毒剤はもちろん、余計な草を枯らす除草剤を使用することは決してありません。「除草剤もやっぱり土に影響があります。まいた後は土が硬くなってしまいます」と川上さん。
それでもやはり畑にとって草は、風通しを悪くしたり、害虫の居場所になってしまったり、何より、直接作物の生育を邪魔したりと、悪影響を及ぼします。ではどうするかというと、それは手で抜いて行くしかありません。
「農業は草との戦いです。3年もやり続ければ段々と生える草は減っていきます。ただ草取りをするタイミングが重要、草が大きくなり過ぎたら、抜いた時に土を傷める、小さすぎてもまた生えてくるから、手間がかかる。その見極めが難しいんです」と川上さんは言います。
山梨でのレタスの取組み
八ヶ岳ナチュラファームでは川上村のレタスの出荷が始まる約1ヶ月前から、川上村を飛び出し、山梨県の韮崎市でレタスを作っています。きっかけは、どうしても空いてしまう春レタスと長野のレタスの出荷の空白部分を埋めて欲しいというユーザーの要求に答える為でしたが、今ではその他に良い効果もあるようです。「川上村では、メンバーそれぞれの家ごとに作業を行っていますが、山梨では、家は関係なくグループでやります。そうすることで、レタスの巻きの固さやサイズなどグループ全体のレタスの品質規格が統一されていきます」と川上さん。山梨での取り組みがメンバーの目揃えに役立っているそうです。
「もう一つは冬の間に鈍った体を立て直すための準備運動かな」と川上さんは笑います。
最後に一言
最後にモスバーガーとの取り組みについて一言いただきました。 「モスバーガーは、良い物を作りたいという生産者さんの気持ちを、理解して使ってくれるのがありがたいです、今後も良いレタスを栽培していきます!」八ヶ岳ナチュラファームのレタスは7月~9月の間に、関東地方と中国地方のモスバーガーに出荷されています。是非その味を店舗でお確かめ下さい!
Text by Yagi