岐阜県中津川市加子母 JAひがしみの加子母トマト生産組合 佐藤 正人さん
岐阜県中津川市加子母は、岐阜県の東部、長野県との県境に位置する山間にある地域です。地域のほとんどを山林が占め、東濃ひのきの主産地です。農業では7月~10月にかけて収穫される夏秋トマト「加子母トマト」が有名で、この地域の最も有名な産品の一つとなっております。このトマトはモスのトマトとしても活躍しており、今回の産地だよりは、この加子母のモスの協力産地「JAひがしみの加子母トマト生産組合」を紹介致します。
雨よけハウス発祥の地 加子母
この加子母地域は標高300mから700mの中山間地域にあり、夏期は冷涼で、昼と夜の寒暖の差が大きいことから、昔からトマト栽培が行われていた地域でした。昭和41年に組合組織を立ち上げ、このグループが先進的に取り組んだ有名な事例があります。それは「雨よけハウス」の導入です。「雨よけハウス」とはビニールハウスの屋根の部分だけあるハウス、文字通り雨をよけるための施設です。野菜は全般的に高温多湿に弱いため、夏の雨は露地野菜の品質に大きな影響を与えます。しかしこの施設の導入で、夏の野菜作りは変わりました。今は夏のトマト作りの当たり前になった風景ですが、この加子母地域が発祥の地となり、全国に広がっていったそうです。
追肥型栽培への変換
雨よけ栽培に取り組み、順調に見えたトマト栽培ですが、昭和57年頃より、収穫量が年々減っていくようになってしまいます。病気でハウスの半分がダメになってしまう、そんなことが頻繁に起こるようになってきました。
そこで組合は、トマトの栽培方法の改革を決断します。「健全な土づくりが健全な野菜を生産する」という考えで、畑の土壌分析を行い、その状態を知り、土壌のバランスを考えた肥料を与え、微量要素と呼ばれるミネラル分も補給するようにしました。そして、今までおこなっていた、全ての肥料成分を一度に土に入れる方法をやめ、トマトの樹の状況に合わせて、追加で肥料成分を入れていく方法に変更しました。
「肥料がこんなに少なく大丈夫なんだろうか・・・?」
と最初は半信半疑で取り組んだ生産者さん達も、問題なく出来上がるトマトを見てびっくり、病気にかかりづらくなり、収量が上がっただけでなく、トマト自体の味も非常によくなっていったそうです。
味を求めた品種選び
加子母トマト生産組合の生産者さんの一人、纐纈(こうけつ)輝己さんのハウスを訪問させて頂きました。
加子母トマト生産組合ではトマトの品種は「桃太郎」に統一しています。「桃太郎」トマトも色々な品種改良が進み、病気に強くなってきているのですが、近年の気候の影響で、その品種改良を超えて、病気が発生するということが多くなってきました。
病気について強く、品種を改良していくと、味が段々と犠牲になってしまうことが一般的な認識ですが、病気で何も生産できなくなってしまうわけにはいかないので、品種改良はやはり必要なことだと考えています。
ただ、纐纈さんからの下の言葉を聞いて驚きました。
「どんなに品種改良しても、多少は病気が出てきてしまいます。それなら昔の桃太郎に戻して、自分達の栽培技術や管理技術で何とかしようと考えて、実は今、段々と昔の桃太郎の作付面積が増えてきているんですよ」
味を重視する加子母トマトの心構えが伝わってくる言葉で、非常にうれしい気持ちになりました。
加子母の風土が美味しいトマトを作る
「栽培方法とか品種とか、色々試行錯誤しているけど、やっぱり加子母トマトの美味しさはこの風土。加子母の綺麗な水、綺麗な空気がこのトマトの味を作っています」と纐纈さん。
この加子母の地域の特徴は何と言っても、昼夜の温度差。これがトマトの味を深くします。またトマトに与える水は山の湧水、栽培方法は同じように出来てもこれだけは他の地域では、真似できないオリジナルなものです。
「あそこに大杉が見えますよね、樹齢が1000年を超えているのに、まだ青々と元気な葉をたくさんつけている。あれが加子母の風土の良さを証明しているんです」
高さ30mの加子母大杉は天然記念物に指定されており、加子母のあらゆる所から見えます。その雄大な姿は確かに加子母の環境の良さを示していると感じました。
モスバーガーでの直売会にも参加
加子母トマト生産組合は、私達の要望で、その産地から一番距離が近いモスバーガー中津川店で直売会を開催してくれたこともあります。佐藤代表の奥様が直接、モスバーガーに来てくださったお客さまにトマトを販売してくれました。その後は店内でモスバーガーの製造体験にも挑戦。職人的にトマトの味にこだわるだけでなく、私達ユーザーの様々な要望に柔軟に答えてくれる素晴らしい産地であると、モスの野菜スタッフは感じています。
加子母トマト是非ご賞味ください
「加子母トマト」は中京エリアのモスバーガーに現在出荷されています。加子母の綺麗な空気と水で出来た、まさに日本の自然が作り上げたともいえるトマトです。黒板で名前を探して、是非ご賞味ください!