熊本県八代市 八代ひかり出荷組合 代表生産者 中村 勇雄さん

熊本県八代市 八代ひかり出荷組合 代表生産者 中村 勇雄さん

熊本県八代市は、熊本県南部に位置し、県第2位の人口を有する田園工業都市です。八代港を中心としたエリアには、様々な工場が立ち並ぶ工業地帯ですが、西の平野部は江戸時代の干拓による広大な農地が広がり、今はトマトの一大産地となっています。今月の産地だよりは、その地でモスのトマトを生産している「八代ひかり出荷組合」をレポートします。

冬のトマトの一大産地、八代に誕生した生産者団体

長年にわたる干拓事業により広がった八代平野は、温暖な気候、ミネラル分をたっぷり含んだ土、日本三大急流の一つである球磨川の豊富な水など、トマトを栽培するのに適した環境が揃っています。その八代エリアには、何百人を超えるトマト生産者がいらっしゃいますが、八代ひかり出荷組合のトマト部会は、平成13年に「原点に戻り、新鮮で健康な美味しいトマトを消費者に提供する」という目的で、その考え方を共有した数名のメンバーが集まり誕生しました。

広大な干拓地が広がります。

広大な干拓地が広がります。

八代ひかり出荷組合到着

八代ひかり出荷組合到着

生産者が栽培に専念できる組織

八代ひかり出荷組合とは、青果物販売業の(株)うえなかが中心となり設立した生産者組合です。(株)うえなかは、八代ひかり出荷組合のトマトを選果、箱詰めして、販売、出荷する業務を行っています。野菜はその栽培が当然重要ですが、生産物を販売することも同じくらい重要です。八代ひかり出荷組合では(株)うえなかが出荷、販売を担当するので、生産者さんは栽培に専念することが出来ます。

選果風景

選果風景

選果されたトマト

選果されたトマト

安全・安心

「本当に安心・安全と思えるものを食べたい」
八代ひかり出荷組合のホームページに記載されている言葉です。この言葉に表されているように、「安心・安全」にこだわったトマトを生産しています。
農薬の管理、記録だけでなく、熊本県農薬指導士の資格をメンバーが取得し、日々勉強をしながら、その使用基準をしっかりと順守しながら栽培に取り組んでいます。また㈱うえなかの事務所で、その履歴を一括で管理することによって、迅速なトレーサビリティ体制がとれていることは、買う側にとっては非常に安心できることです。

箱には生産者名が記載されています。

箱には生産者名が記載されています。

事務所に掲げられた農薬指導士の認定書

事務所に掲げられた農薬指導士の認定書

特別栽培基準のトマトに取り組む

八代ひかり出荷組合のトマトは、農薬と化学肥料の窒素成分が、その地域の慣行基準の半分以下で栽培する、特別栽培の基準で作られています。もともとは慣行基準で栽培していた生産者さんたち、この栽培をスタートさせる当初はかなりの不安があったそうです。
ただ「これからはこういったことに取り組んでいかなければ、消費者は買ってくれない」という強い思いのもと、減農薬、減化学肥料の勉強を重ねて、半分以下の今の基準を達成することが出来たそうです。

こだわりのトマトです

こだわりのトマトです

直営農場を作ってお客さまのニーズに答える

八代ひかり出荷組合にトマトを出荷する農場のなかに「北新農園」と「ハレノヒファーム」という2つの農場があります。ここは(株)うえなかが立ち上げた直営農場です。ここで働く従業員は皆さん(株)うえなかの社員、毎月お給料をもらいながら会社員として農業を行っています、従業員は当然若い人が中心になっています。
なぜ直営農場?という疑問が湧きます。聞くと、お客さまのニーズに答えるため、という答えが返ってきました。「もっと早い時期からだせないの?」「こういう品種は作れない?」という要望に、直営農場であれば迅速に対応することが出来るとのことです。
また会社員としての農業という門戸を開くことで、若者が農業に従事しやすい環境を作ることに成功しています。八代ひかり出荷組合が農業後継者問題に積極的に取り組んでいることが伝わります。

北新農園の若き農場長、中本さん

北新農園の若き農場長、中本さん

整理整頓されたきれいなハウスです

整理整頓されたきれいなハウスです

農薬を減らすための工夫

代表生産者の中村さんのハウスに訪れたのは10月中旬、11月の出荷に向けてまだまだトマトは小さいですが、樹の成長は順調そうです。
「気候的な問題は少なくて順調なんだけど、黄化葉巻病がね・・」と中村さん。
黄化葉巻病とは、近年日本全国のトマト産地を悩ませている病気で、シルバーリーフコナジラミという小さな虫が媒介します。発症すると葉っぱが黄色くなって巻いてしまい成長が止まってしまうので、これからその1本の樹で、何カ月もトマトをとる農家さん達には大打撃となります。今年の八代地域では、例年より多く発生しているとのことです。
「色々対策はしているんだけどなあ」と中村さん、確かにハウスを見ると、農薬の使用回数を抑えるために様々な工夫が見られます。目の細かい防虫ネットや、黄色灯、捕虫紙、中でも面白いのが、ネットに吊るされた茶色い粒、ハーブを固めたものだそうです。近づくとほのかにハーブの香りがします。この臭いで虫が付きづらくなるそうです。

出荷を待つトマト

出荷を待つトマト

トマトの状態を確認する中村さん

トマトの状態を確認する中村さん

中村さんと中本さん

中村さんと中本さん

ハーブの虫よけ

ハーブの虫よけ

こどもでも安心して食べられるトマト

中村さんにトマト作りの楽しさ、目指すトマトを伺いました。
「トマトはやっぱり長く世話できるところ、苦労もあるけど、その結果、味が良くなっていったらうれしい。特別栽培の基準で作るのは大変だけど、こどもでも安心して食べられるトマトを作りたいから、頑張っています」とやさしく語る中村さん、こういった想いを持った方がモスのトマトを作ってくれていると思うと本当にうれしくなります。

奥様と一緒に

奥様と一緒に

最後に一言

最後にモスのお客さまにむけて一言頂きました。
「これからもお客さまに喜ばれるトマトを作っていきます。是非お店で私達のトマトを味わってみて下さい」。
八代ひかり出荷組合のトマトは11月~6月の間、主に北海道、東北のモスバーガー店舗に出荷されます。是非お店で「安心・安全」にこだわって作られた八代ひかり出荷組合のトマトを探して見てください!!

是非私達のトマトを味わってみてください。

是非私達のトマトを味わってみてください。

Text by Yagi