産地だより 2018年4月

茨城県結城郡八千代町 四季菜くらぶ(レタス) 代表生産者 高木 勝弘さん

2018年4月
茨城県結城郡八千代町
四季菜くらぶ(レタス)
代表生産者 高木 勝弘さん

今回の産地だよりは、モスバーガー本部のある大崎から車で1時間30分、茨城県八千代町に行ってきました。八千代町は、平坦で肥沃な土地と温暖な気候、首都近郊という立地条件を活かし、農業を基幹産業としています。
今回レポートする協力農家さんはその八千代町の四季菜くらぶ代表生産者の高木勝弘さんです。
最初にその高木さんが所属する『四季菜くらぶ』のご紹介をいたします。
茨城県の南西部に位置し、比較的温暖なエリアで、ほぼ通年で野菜栽培が可能な恵まれた気候を活かして、レタス、サニーレタス、グリーンリーフ、ロメインレタス、ほうれん草、ブロッコリー、にんじん、きゅうり、長ねぎ、小ねぎ、ピーマンなど、さまざまな品目を11名の生産者さんで栽培しています。
この生産者さんたちの情報共有は当然のことながら、素晴らしい連携を取っているのも、四季菜くらぶの特徴です。
例えば、連作障害(同じ野菜を同じ畑で作り続けると病気や害虫が発生しやすくなる問題)対策のために毎年の作付け計画をメンバー同士で協議し、四季菜くらぶ全体で品目のローテーションを組むといった工夫をされています。

出迎えてくれたのは、その高木さんと同じく生産者の内海弘さん、四季菜くらぶ管理担当の高安秀典さんでした。

左から高安さん、高木さん、内海さん

左から高安さん、高木さん、内海さん

四季菜くらぶのレタス畑

四季菜くらぶのレタス畑

高木さんは、11月から5月までレタス栽培、夏場は加工用トマト栽培する生産者さんで、今年で17年目を迎えます。

農業に携わったきっかけは?

高木さんは、茨城県八千代町出身です。就農前は興味があったコンピューターの専門学校に通われていたそうです。しかしそんな高木さんの頭のなかに農業のことが常にあったそうです。「農家の父と母の背中をみていたので就農には迷いはなかった。」と話してくれました。

代表生産者 高木勝弘さん

代表生産者 高木勝弘さん

モスの社員に説明する高木さん

モスの社員に説明する高木さん

レタス栽培方法

この時期に栽培されている品種は、「クールガイ」。低温期に強く、春の早とり栽培に適した品種にしているとのこと。
栽培方法は、大きめのトンネル栽培(トンネル状の枠にビニールをかぶせて保温し、その中で作物を栽培すること)が四季菜くらぶの特徴のひとつと高安さんが話してくれました。
トンネル栽培は6尺か9尺のものがあるそうですが、こちらでは9尺のものを使用しています。その理由は、トンネル内の空間が広い分、温度は上がりにくいが、一度トンネル内が温まると下がりにくいという特性があり、低温期のレタスの生長を妨げる要因を少しでも減らせるところにあるそうです。ただし、9尺のトンネルは、表面積が大きい分、手間やコストもかかり、強風で壊れる可能性も高いそうです。それでも品質のよいレタスを安定的に作るために、この9尺トンネルを採用していると高安さんが力強く話してくれました。
高木さんに土作りのこだわりをお聞きしました。
「化成肥料は使わず、緑肥をすき込み、土作りをします。それと輪作(栽培する作物を周期的に変えること)ですね。土の栄養バランスがよくなり、品質が向上します。」と話してくれました。
これにより、連作での病原体・害虫などによる収穫量・品質の低下の問題を減らすことができ、「安全」「安心」、そして「おいしさ」を大切にしていることが強く伝わってきました。

収穫直前のレタス(クールガイ)

収穫直前のレタス(クールガイ)

左が6尺、右が9尺のトンネル

左が6尺、右が9尺のトンネル

レタス栽培で苦労したことは?

苦労する点として、レタスが小さいうちは寒さに強く、丸く結球すると寒さに弱くなることです。
レタスの生育のために、天候と気温を確認し、「換気」もしてあげなければなりません。寒い日はトンネルを閉めておき、暖かい日はトンネルを開けて、温度と湿度のバランスを調整する、細目な作業、管理を行っています。
今年の1月は大雪が降り、トンネル側面の換気をする部分に雪が積もり、換気ができないことがありました。トンネル内の温度が上昇し、葉は「雪焼け」し、変色した部分もありました。なんとか対処し、被害は最小限に抑えることができました。
また、4月上旬になるとトンネル栽培のビニールを取り、栽培します。気温が上がり、生育はし易くなりますが、気が抜けないのが4月とのこと。遅霜が降りて葉が変色したり、葉に傷が付き、売り物にならなくなってしまうからだそうです。

換気中のトンネル

換気中のトンネル

結球具合の確認

結球具合の確認

応援にきてくれた内海さんの畑も見せていただきました。
内海さんのトンネルは定植後2週間で、これから暖かくなる時期から栽培を開始し、5月ごろ収穫していきます。すると高木さんのトンネルと違いが。ビニールに通気孔が開いています。こちらは気温が高くなり過ぎないように初めから通気孔が開いているものを使用しているとのことです。時期に合わせ、野菜にとって最良の環境を作っていく、農業の素晴らしさを強く感じました。

内海さんのレタス畑

内海さんのレタス畑

通気孔があるトンネル

通気孔があるトンネル

レタスの収穫

トンネル内は、4列で栽培し、内側の2列から収穫していくそうです。理由は簡単とのこと。
外側はトンネルの換気のため、冷たい空気にあたることが多く、生長が遅くなり、内側2列はその影響が少ないため、早く収穫できるそうです。
収穫タイミングにも気を使います。生長しすぎると「ガチ」(葉が詰まりすぎて固くなる)になるため、1週間ごとに収穫できるよう定植時から考え、栽培しているそうです。

内側の2列から収穫

内側の2列から収穫

出荷される高木さんのレタス

出荷される高木さんのレタス

レタスを栽培していて、うれしいときは?

高木さんいわく、「100点のものが収穫できたとき。」と話す。なかなか100点のものはできないため、できたときは本当にうれしいそうです。

高木さんからのメッセージ

高木さんにモスバーガーのお客さまに向けて一言いただきました。
「一生懸命作ったレタスです。自信を持って出荷します。ぜひ味わって食べてください。」

左から内海さんと高木さん

左から内海さんと高木さん

Text by Iigusa