北海道美幌町 北海道まごころ倶楽部(美幌) 代表生産者 坂本 和裕 さん

北海道美幌町 北海道まごころ倶楽部(美幌) 代表生産者  坂本 和裕 さん

北海道美幌町は、北海道の東部・オホーツク管内のほぼ中央部、オホーツク海から30km程度内陸に位置する町です。「びほろ」とはアイヌ語で多くの清流が合流して水量が豊富なところを「ピ・ポロ=水多く・大いなる所」といい、これが転訛して「ビホロ」と名付けられたとのことです。全国的に有名なのは「美幌峠」。標高525mの展望台からは北東に屈斜路湖、その向こうに摩周岳、斜里岳が峰を連ね、南西には大雪連峰をはじめとする大パノラマの眺望が広がります。屈斜路湖は面積79.7km2の日本最大のカルデラ湖で、深い緑色の水面は刻々と色彩を変えロマンを秘めた湖です。そんな大自然豊かな美幌町では、網走川、美幌川の流れに沿って玉ねぎ、ジャガイモ、ビート、小麦、豆、ニンジン、キャベツなどの畑が広がっています。

美幌峠から屈斜路湖の眺め

美幌峠から屈斜路湖の眺め

雄大な北海道の風景

雄大な北海道の風景

真剣な眼差し

北海道まごころ倶楽部(美幌)は代表生産者の坂本和裕さんをはじめ、総勢5名のグループです。この日は全員の玉ねぎ畑を回りながら生育状態を確認しました。
「今年の定植はほぼ予定通りで作業後に適度な雨も降ってしっかり根付いたんですが、その後にかんばつと高温が続いて、少し心配・・・・」とは言いながらも、「我々の作り方はしっかりした根とその根張り。根ががっちりしているから多少のことは大丈夫!」と坂本さんは力強く説明してくれました。

玉ねぎ畑の様子

玉ねぎ畑の様子

真剣なまなざしで玉ねぎをチェック

真剣なまなざしで玉ねぎをチェック

安定した玉ねぎ生産

秋から春の半年間、国産の玉ねぎを言えば、その多くは北海道産です。その産地は「札幌、岩見沢などの石狩・空知地方」「富良野などの上川地方」。そして「美幌や北見などの網走地方」の大きく3つありますが、それぞれ毎年気象状況が異なります。
まごころ倶楽部は美幌町と石狩・空知地方にある栗山町という2つの地域に玉ねぎ産地があり、どちらかが天候不順で収穫量が不足した時はどちらかが補完できる「安定供給」を実現しています。モスバーガーとの取り組みも既に10年以上となりましたが、毎年しっかり全国のお店に届けていただいています。
「それでも、やっぱり取り組みを開始した当時から比べると天候は明らかにおかしいです。大雨かと思ったらかんばつ、高温。次に降雹の被害。気が休まらないですね」と坂本さん、本当に極端な天候に毎年振り回されてしまいます。

順調に生育しています

順調に生育しています

葉の状態を確認する坂本代表

葉の状態を確認する坂本代表

辛味の少ない美味しい玉ねぎの追求

モスバーガーでは、玉ねぎを基本的に生で使用します。特に看板メニューである「モスバーガー」には細かくカットした玉ねぎがふんだんに入ります。生の玉ねぎの味がダイレクトに口の中で広がるため、特に辛味やエグ味があるとハンバーガーの味の全てが崩れることになってしまいます。この辛味とエグ味をいかに少なくするかということに、モスバーガーの玉ねぎ生産者さん達は日々挑戦しています。
今までどんなご苦労があったか坂本代表にお聞きしました。「最初は栽培期間中に何度も現地で検討会を開き、生育状況や葉の色を見ながら肥料の内容、種類を議論。同時並行で品種比較も実行し、その都度、味の確認を何度も行います。でも正直言って途中で分からなくなる場面もありました。特に美幌の玉ねぎは生育時期の関係もあり、辛味が強くなる傾向があります。それでも年々少しずつ、肥料はもっと少ない方が良い、少なくても大きくなる。それには根の質と根張り状態が重要。ミネラルとそのバランス。生育に合わせた肥料など。当たり前のようでなかなか実行できないことを実践していきました。そうすると、だんだん辛くない美味しい玉ねぎが出来てきたんです」あらためて、この玉ねぎの味は、長年の積み重ねが作ってきた味であるということを確認しました。

整然と並んだ収穫を待つ玉ねぎ

整然と並んだ収穫を待つ玉ねぎ

収穫された玉ねぎ

収穫された玉ねぎ

巨大な玉ねぎの選果機

巨大な玉ねぎの選果機

多くの心労と惜しまない手間

もちろんそれだけでは今の品質には繋がりません。もっと品質を良くするため、新月、満月時における生物の行動を利用した「月のリズム」での施肥や害虫の防除を行うことや、かんばつの際の水やりのタイミングについても、玉ねぎ自体の状態や、その時間などを見極め、グループで相談し細心の注意を払っています。こういったあらゆることに気遣う姿勢が、毎年の安定した生産に繋がってきているのだと感じます。

畑への灌水風景

畑への灌水風景

玉ねぎは選別され大きなコンテナに入れられます

玉ねぎは選別され大きなコンテナに入れられます

それでもまだまだ

様々な取り組みによって、安定供給を行っているまごころ倶楽部ですが、それでも、まだまだ勉強が足りないと坂本さんは言います。「今年は何が良かったのか、効果があったのかを見極めること。特に土壌のミネラルバランスと使用する肥料の見直しは細かく検討しないとまだまだダメですよ」と既に来年にむけての検討は始まっています。常に進化しようとするこういった生産者さんの姿勢には本当にうれしくなります。

メンバー全員で試行錯誤して美味しい玉ねぎを目指しています

メンバー全員で試行錯誤して美味しい玉ねぎを目指しています

最後に一言

最後にモスバーガーのお客さまにむけて一言頂きました。
「ようやくある程度納得できる味までステップアップしてきました。ぜひモスのお客さまにもっとまごころの倶楽部の美味しい玉ねぎの味を楽しんでほしい。また栽培している私たちの心も感じて欲しいです」
北海道の玉ねぎが出回る秋はすぐそこまできています。是非モスバーガーで、生産者さんの気持ちが入った玉ねぎを味わってください!

私達の心が入った玉ねぎです!

私達の心が入った玉ねぎです!

Text by Tomio